リーマン仮説の証明   ver20 第6部






第6部      実零線・虚零線の矛盾点




■6の1■      零線図に生じる矛盾点


実零線・虚零線図を見るとリーマン零点がa=0.5上に綺麗に並んでいるのが判ります。もし、a=0.5以外のところにあるなら、必ず a=0.5の両側の等距離のところにペアで存在しなければならない ことはすでに証明済みです。ここでは、a=0.5上以外にリーマン零点があったとするなら、どのような矛盾が生じるかを、微分零線を使って示してみます。ただし、このやり方では矛盾を指摘できない事例がいくつか残るので、それについては第7部以下で別のやり方により証明することにします。

実虚零線、および、微分零線を使う証明の根拠として次の3つの法則を使います。


1)零線は途切れたり、枝分かれすることはない

2)微分零線は実零線、虚零線の上下、左右の先端を通る(交わる)

3)実零線と虚零線が接しない(直交している)

注    「特異点がない」という条件は、まだ研究不足だったので廃止します。



これらの法則のいくつかはすでに第5部で証明済みですが、残りはここで証明します。ですから、これら3つの原則に反する作図があるなら、そこに矛盾点が生じて、その図のような形があり得ないことが証明されたことになります。

「6の12」以下で「想定しうる形」をすべて検討しますが、普通に思いつく作図においては矛盾点を見つけることができます。このやり方で証明できなかった事例は、第7部で取り上げる予定です。




■6の2■      実零線、虚零線の想定しうる形(再確認)


第3部ですでに確認したことですが、0=<a<=1 の間にある実零線は、実零線1を除き、すべて横U字形をしています。虚零線は、横一本線、および右横U字形をしています。しかし、証明としては、存在しないと証明できた形以外は、すべて可能なものとして作図しなければなりません。そういう「想定しうる」という範囲で考えると、実零線は、横U字形のほかに、輪になる可能性を持っています。それ以外はありません。虚零線は、先のふたつの形以外としては、左横U字形(左に膨らみを持つ)と、輪になる可能性を否定できません。つまり、形として、実零線は2個、虚零線は4個の可能性をもっていることになります。そして、これらのすべての組み合わせを個別に検討することにします。




■6の3■      零線は、枝分かれや途切れることはない


k(s)、および、その微分式を図示することが可能です。立体図というのは書きにくいので、abz座標を縦か横かに切って、bz座標、az座標にして平面的に描きます。どこで切っても必ず実部線と虚部線は波として描かれます。また、実部線も虚部線も連続した微分可能な線となります。また、それらを微分した式も再度微分可能で、それらは何度でも微分可能な構造になっています。なぜなら、三角関数を基本とする式だからです。 k(s)で微分不可の点は (1,0) の点だけです。

nami56a の図
実部線・虚部線は途中で枝分かれすることはありません。その理由は、もし枝分かれするような曲線なら、その枝分かれする点pにおいて傾きがふたつ生じます。しかし、その点での微分係数は常にひとつだけです。それゆえ、波が途中でふたつに分かれることはありません。

実零線・虚零線も枝分かれしません。なぜなら、もし、実零線の上がマイナス、下がプラスだとしましょう。すると枝分かれしたあとに出来る新たな空間のプラス・マイナスが決まらなくなります。このようなことはあり得ません。虚零線でも、微分零線でも同じことです。すべての零線で枝分かれと言うことはあり得ないのです。

また、線が途切れてしまうこともありません。なぜなら、そのとぎれたところの直前では上か下がプラスで、その反対がマイナスになっているはずですが、途切れたところから先はプラスでも、マイナスでもないと言うことになってしまいます。そのようなことはあり得ません。

零線だけではありません。k(s)内のすべての波や線、また平面までも途中で途切れることはありません。




■6の4■      実零線の上下の先端を微分零線が通る


実部式を微分した場合、aについてと、bについてのふたつになりますが、それぞれの微分式が実部式とどのような関係にあるかを確認しておきます。

kr_em5 の図
aについて微分した値とは、bを特定し、aのみを変数としたときに出来るaz座標図での傾きのことです。値が零とは傾きがない、つまり頂点か谷底かのいずれかということになります。ですから、微分式を零とする点を集めると、みな実部線がaについて山頂か、谷底の場所になっています。これを描くと微分式の零線図になります。

実部式を零とした点を集めると実零線になるのですが、a軸に平行な線で輪切りにした図(aZ座標)では、その実零線の零点が図の零点として現れます。もし、実零点がふたつあるなら、その間に必ず山か谷があるので、その頂点が微分線の零点となります。そして、実零線の零点が近づくに従い、微分線の零点も必ずその間にあるので、実零線の零点に挟まれる形になり、ふたつの実零点が重なるところでは、必ず微分線の零点も重なります。つまり、実零線の上下に膨れたところの先端を微分零線が必ず通過すると言うことです。

dk3 の図
以上のことは微分の本質からして当然のことなので、これで証明となっていますが、図でも同じことが言えるので、参考までに図を見ながら説明させていただきます。

右図は実零線と微分式k_re_a(a,b)の零線ですが、実零線が下に膨れた頂点のところを微分零線が通っています。    










■6の5■      実零線の左右の先端を微分零線が通る

kr_hj_a0 の図
bについて微分したときも同じことです。右図はa=0のときの実部線(青)とbについての微分線(赤)k_re_b(a,b) を重ねたものですが、実部の零点が実零線の通過点、頂点が微分線の零点となります。

aが実零線の幅が減少する方向に動くと、波の高さも低くなりますが、その波の間に必ず山頂か谷底があり、そこを微分零線が通っています。aがさらに動くと、波の高さがさらに低くなり、ついに実部の零点がひとつになる場所があります。そこが実零線の左右の先端で、そこを微分零線(頂点の跡)が必ず通過しています。

左右の先端があるなら、そこは縦に切った線での分析からすると、ふたつの実零点が重なった場所なので、必ず微分零線が通りますし、実零線とbについての微分零線が交差しているなら、その点は必ず実零線の左右の膨らみの先端になっていなければなりません。 dk4 の図


そのことは、実際の作図においても確認できます。右図のa=0.5を虚零線が通過していますが、bについての微分零線 k_re_b(a,b) は、分析通りに実零線の左右の膨らみの先端を通過しています。










■6の6■      虚零線の左右、上下の先端を微分零線が通る


虚部式をaについて微分した場合と、bについて微分した場合も同じことです。虚部波にも零点があるので、その零点を集めてab座標に書き込むと虚零線が出来上がります。また、aについてと、bについてのそれぞれに波の頂点があるので、そこが微分係数零点になります。その零点を集めるとひとつの線になり、aについての微分零点を集めるとk_im_a(a,b)になり、bについての微分零点を集めるとk_im_b(a,b)という微分零線になります。

そして、k_im_a(a,b)は、虚零線の上下の膨らみの先端を通り、k_im_b(a,b)は左右の膨らみの先端を通ります。

また、図上で虚零線と微分零線が交差しているところがあったなら、その交点は、k_im_a(a,b)なら必ず虚零線の上下の膨らみの先端で、k_im_b(a,b)なら左右の膨らみの先端でなければなりません。これを参考までに図で説明しておきます。

im06 の図
右図はb=25あたりの実際の虚零線図ですが、虚零線が横U字形になって、左右の膨らみと、上下の膨らみを作っています。








■6の7■      実零線・虚零線と微分零線の関係


hj_hx01_n8 の図
実部波の山頂と谷底は傾きが零なので、微分係数も零となります。右図は実部が a=0.1 のとき、b=10から30までをbについて微分した図ですが、実部線(青)の山頂と谷底が綺麗に微分線(シアン)の零点になっています。

虚部波についても同じことが言えます。虚部波の山頂と谷底が微分線の零点になります。

nami115 の図
実零線・虚零線図で説明すると、実零線の間を必ず kr_re_a(a,b)の零線と、k_re_b(a,b)の零線がそれぞれ一本通ります。実際の図ではあまりに実零線と微分零線が近接しているので、間を通っていることが明確になりません。そこで、視覚的に判りやすいように作図したものを載せておきます。シアンがaについて微分した式 k_re_a(a,b) の零線、緑がbについての微分した式 k_re_b(a,b) の零線です。それぞれ、上下の膨らみと左右の膨らみの先端を通過しています。

nami65 の図
実際には実零線の間に1本の微分零線しか通りませんが、証明の前提としては、奇数個の微分零線が通る可能性を排除できません。ですから、想定による作図の場合には奇数個の微分零線を描くことがあります。しかし、2本とか4本ということはあり得ません。右図のx1とx2の間に偶数個の頂点が来るような図を書くことは出来ないからです。山の次には必ず谷が来て、山の次が山ということはないからです。

下の図は実零線図で確認したものです。実際にこのような図が現れることはありませんが、理論上は奇数個の微分零線が通る可能性はあり、それぞれ別の左右の膨らみの先端を通過します。





■6の8■      膨らみの先端以外のところを通る可能性はない

nami43 の図
膨らみの先端以外の所を通ることはあるのでしょうか。膨らみ方が特殊な場合、もしくは、重根・接触のような場合はどうでしょうか。ひとつは右図のような場合です。

普通の微分零線は頂上か谷底を通ります。ですから、線の片方が上りなら、もう片方は下りになります。しかし、特殊な事例の場合は上りが一端傾きが零となり、それからさらに上りになるという具合に変化します。このとき微分係数が零となりますが、ここを微分零線が通ることがあるかどうかという問題です。

このようなことが起こり得ないことは、次のような論理で証明できます。
nami64 の図
このような特殊な事例があったと仮定します。この特殊な零線は途中から普通の零線に変わることはありません。なぜなら、特殊な線から普通の線に変わる点をpとすると、その同じ側に上る線と下る線があることになります。実部が上っていて下がるところは頂点なので必ず微分零線が通ります。すると、pで零線が枝分かれすることになるります。しかし、零線が枝分かれすることはないので、特殊な零線は普通の零線に繋がることはありません。

この特殊零線が a=-∞ や a=∞ に繋がることはありません。なぜなら、すでに第4部で分析したように、 a=-∞ と a=∞ では、実部、虚部ともにsin・cos曲線になっていて、特殊な零線は存在しないからです。唯一、存在する可能性を否定できないのは、輪になっている場合です。特殊な零線同士が互いに繋がることは可能で、それが輪になることはあり得ます。しかし、そのようなことが起きたとしても、次に述べる事情により、その零線を微分零線が越えることは出来ません。


nami62a の図
そこで、そのようなありえないことが起きたと仮定します。その想定に基づいて作図すると右図のようになります。さて、実零線図とはz=0のときに切り取ったab座標図のことですが、z=0の近傍で切り取ることも可能です。するとその場合にも実零線と似た図が描かれます。ただ、先の図とまったく同じと言うことはあり得ません。波は動いているので、何らかの違いが生まれているはずです。その形は、なだらかな線に変わるか、でこぼこの線に変わるかのどちらです。

もし、その線がなだらかで先端がないとします。すると、そこを微分零線が通ることはありません。しかし、z=0からわずかに変化しただけなのに、突然あるものが無くなるというのは奇妙です。その場合は、z=0の近傍よりさらにz=0に近い点で確認できるはずで、どこかで突然無くなっていることは間違いありません。しかし、そのようなことが起きることはあり得ないので、結論としては、最初の前提、つまり、特殊な零線が存在しないことを示しています。

もし、でこぼこの線があるならどうでしょうか。この場合は、必ずふたつの先端があるはずです。その先端を必ず微分零線が通っています。ですから、線としては2本になります。この2本が突然1本になることも矛盾です。このような矛盾が生まれるのは、最初の前提があり得ないことを示しています。

右図で説明すると、第2図のような微分零線があったとします。それが変化して第3図になることはありますが、第1図に変化することはあり得ないということです。

このような矛盾が生じるので、特殊な零線を微分零線が通過することはあり得ないことが証明できました。




■6の9■      実零線と虚零線は直交している


これは事実なので、とても驚かされます。k(s)の特質には驚かされましたが、単にk(s)がということでなく、このような現象が複素関数全体にあることを第5部で指摘しておきましたが、常識を越える現象であるが故に、非常に重要であると言えます。(■4の21■)で取り上げたテーマですが、ここで再述します。)

さて、複素空間ではすべての点で一回り(360度)全体の微分係数(実部と虚部)が存在しています。そして、そのうちの1点でも、実部、虚部の微分係数が定まると、他の微分係数すべてが定まります。k(s)も例外ではありません。

実零線は、実部零点の集合ですが、その点での微分係数は通常、零ではありません。実部波の図を見ても判るように、零点部分は斜めになっていて角度を持っています。ただ、その波の高さが低くなり、頂点がz=0になるとき、頂点が平らなので微分零点となります。微分零なので微分零線が通ります。ここが実零線と微分零線の交点となります。この交点での実部の微分係数は零です。実部が決まったので、微分係数決定の法則によりその点でのθ+pi/2方向の虚部の微分係数が決まります。答えは零です。ただし、リーマン零点以外では虚部値が異なるので交差しません。誤解がないように再度説明しますが、実零線と微分零線の交点の(その微分零線の方向での)微分係数は零です。その点における虚部の値は、通常は零ではありません。ですから、リーマン零点にはなりません。しかし、それにも係わらず、その点での虚部のθ+pi/2の方向の微分係数は必ず零となっています。つまり、90度の角度をもって零となるということです。これが一般的に、どの点でも成り立っています。

実零線と虚零線が交わる点がリーマン零点ですが、そこでも微分係数決定の法則は成り立っています。その交点は通常、微分零点ではありません。しかし、実零線の侵入角の方向(θ方向)での微分係数は必ず零になります。すると、θ+pi/2 方向の虚部の微分係数が定まり、その値は常に先のθ方向の実部微分値と同じですから、答えは零です。すると、その角度で虚零線が通ることになり、それを図示すると、実零線と虚零線が直交することになります。

br44 の図
つまり、何度も言ってくどくなりますが、リーマン零点以外でも直交していると言うことです。ただ、そこは零点でないので図示されないだけのことです。しかも、これはk(s)だけでなく、すべての複素関数のすべての点で成り立つ法則であるということが非常に重要なのです。

従来の実零線・虚零線図は上下左右の縮尺が異なるので、直交していることが判りにくくなっていますが、右図は縮尺を同じにして描いたものです。a=0.5、b=14.134725で交差していますが、直角であることはお判りになるでしょうか。




■6の10■      実零線と虚零線が接することはない (別証明) (09/04/15 修正)


実零線と虚零線が必ず直交するのですから、接することはあり得ないのは当たり前のことです。ただ、「接触しない」という点だけを証明するなら別の証明方法もあります。

実零線と虚零線は独立しているのではなく、互いに影響しあっています。つまり、少しずれたところで、お互いに影響を与えながら進んでいます。

nami101 の図
さて、右図の場合、p1は実零線の上下の膨らみの頂点です。ここで虚零線が接触する場合を考えます。仮定法の前提として、このようなことがあったと仮定すると、この場合の実部をaで微分した式の零線は上下の膨らみの頂点p1を通ります。この式と虚部をbで微分した式とはまったく同じなので、この式の零線は虚零線の左右の膨らみの頂点を通らなければなりません。いま虚零線上にあるp1を微分零線が通っているのですが、ここは実零線と虚零線が接触する点で、しかも実零線の傾きが零であり、それと接する虚零線の傾きも零となっています。傾きが零なのに左右の膨らみの頂点になることは矛盾です。それゆえ、このようなことは起きることはなく、このような矛盾を起こす原因となった最初の前提、つまり「実零線と虚零線が接触している」という仮定が起こり得ないことを示しています。

nami100 の図
右図では、実零線が斜めのある角度をもって傾いている線上の点p1で虚零線が接触しています。p1を基点とするすべての方向に傾き(微分係数)が存在していることはすでに第5部で説明したとおりです。

この場合、点p1において、実零線に接する方向での実部の微分係数は零となります。一方で、この点p1において、虚零線も同じ角度で侵入してきているので、この方向での虚部の微分係数も零となります。

さて、■5の10■で説明したように、斜めの線における微分係数は、ひとつが定まると他の微分係数も定まります。p1での侵入角での微分係数が、実部が零、虚部も零だとすると、90度先の線上での微分係数が、実部は前の角度の虚部の微分係数とマイナスを介して等しい、虚部は実部微分係数と等しいのですから、この角度での傾きは、実部も虚部も零となってしまいます。次の90度先の傾きも同じで、結局、このp1の周りの微分係数は、実部も虚部も零と言うことになります。

しかし、横U字形の左の膨らみの先端q1をbについての微分零線(シアン線)が走っています。また、p1を通るb軸に平行な直線L1があります。このL1上にはp1と、もうひとつ実部零点p2が存在しています。その間に微分零線が走っているので、p1とp2との間に微分零の点p3があることが判ります。そして、その点p3のbについての微分係数が零なのですから、p1のbについての微分係数は零にはなりません。なぜなら、微分零線がp1を通っていないからです。しかし、先の分析によると、p1の周りの微分係数はすべて零という結論が出ています。微分係数が零なのに、零でないというのは矛盾です。このような矛盾が起きるのは、最初に前提にした「実零線に、虚零線が接している」という命題があり得ないことを証明しています。




■6の11■      特異点は単独では存在しない (廃止)

特異点についてはまだ分析不足のところがあるので、この項目は削除します。さらに研究して上で再度説明できるようにしたいと思います。

なお、実零線同士、虚零線同士が交差する特殊な場合がないわけでもないことに気がつきました。以前の分析では交差しないという前提で作図しましたが、今回からは、その可能性も含めて検討することにします。





■6の12■      想定しうるすべての形


さて、零点図の想定しうるすべての形を挙げておきます。これらすべてにおいて矛盾が生じることを示すことが当初の目標でしたが、このやり方ではどうしても矛盾を指摘できない事例が残ってしまったので、それについては、別途別方法により証明を完成させました。それゆえ、ここでは微分零線を使って証明できるものはすべて証明して、あり得る形を減らすことが目標になります。

想定可能かどうかの判断はやや曖昧です。第6部の1で述べた条件を厳密に適用すると想定できる図がほとんどなくなってしまいます。それでは困るので、第4部で分析した条件のみで想定可能な形をすべて取り上げ、その上で第6の1で挙げた3つの原則(条件)に基づいて矛盾を指摘するというやり方でやってゆきます。

第4部で分析したように、実零線が取りうる形は、横U字形と輪という2種類です。虚零線の取りうる形は、横一本線、右に膨らみを持つ右横U字形、左に膨らみを持つ左横U字形、輪の4種類です。

リーマン零点が横に並んでペアで存在したとすると、その点をx1, x2 とします。それぞれを同じ零線が通ることもありますが、別の零線が通ることも拒否できません。ですから、両方の可能性を検討しなければなりません。この点を考慮して想定しうるすべての形を纏めると、次のようになります。

実零線は、

1)横U字形がひとつで、x1, x2を通るときと、

2)横U字形がふたつで、それぞれx1, x2 を通るとき、

3)横U字形と輪のとき、

4)輪がひとつ、

5)輪と横U字形、

6)輪がふたつ、

の6つの場合が想定できます。



虚零線は、

1)横一本線がひとつで、x1, x2を通るとき、

2)横一本線がふたつで、それぞれ x1, x2 を通るとき、

3)横一本線と右横U字形で、先のものがx1、後のものがx2を通るとき、

4)横一本線と左横U字形のとき、

5)横一本線と輪のとき、

6)右横U字形がひとつで、x1, x2 を通るとき、

7)右横U字形と横一本線のとき、

8)右横U字形がふたつ、

9)右横U字形と左横U字形、

10)右横U字形と輪、

11)左横U字形ひとつでx1, x2を通るとき、

12)左横U字形と横一本線、

13)左横U字形と右横U字形、

14)左横U字形がふたつ、

15)左横U字形と輪、

16)輪がひとつで、x1, x2 を通るとき、

17)輪と横一本線、

18)輪と右横U字形、

19)輪と左横U字形、

20)輪がふたつ




以上の組み合わせなので、事例(1,5)のように表記することにします。左の数字が実零線の種類、右の数字が虚零線の種類です。(1,5)とは、実零線が横U字形ひとつでx1, x2を通過し、虚零線が右横U字形でx1を通り、横一本線がx2を通るときです。この組み合わせは合計120通りになりますが、そのすべてが検討対象となります。

また、それぞれの事例の中でも、どこに膨らみがあるか、線のどこに零点があるかによって検討すべき内容が異なることもありますが、必要な場合はその事例の中で分析することにします。また、中には他の事例とほとんど同じ論理で矛盾点を指摘できる場合もあります。そのようなときは適宜省略させていただきます。





■6の13■      事例(1,1)


事例(1,1)は、実零線が横U字形ひとつで、虚零線が横一本線ひとつのときです。

a=0.5の両側にペアで存在するリーマン零点をx1,x3とします。ここを実零線と虚零線が通ります。ただ、虚零線は必ず実零線の横U字形の内部から出てくるので、ふたつの点を通過するとまた横U字形の内部に入り込んでしまい、外に出るためにはもう一つのリーマン零点を作らなければなりません。すると、a=0.5に対してその点と対称なところにまた別のリーマン零点が必要となります。このような矛盾が起きないためには、3つめのリーマン零点は必ずa=0.5上になければなりません。そこで、その点をx2とします。こうして、実零線上にx1,x2,x3と並ぶことになり、その点を虚零線も通過しています。

nami50 の図
これを図示すると右図のようになります。青が実零線、赤が虚零線、そして、実部式をbで微分した式の零線を緑で示してあります。先に証明したように、虚部式をaで微分した式も同じなので緑で示します。この微分零線は虚零線の上下の膨らみの先端を通ります。この図ではp1を通ることになります。また、実零線の左右の膨らみの先端q1を通過します。

p2はx1とx3を結ぶ線上の点ですが、az座標を描いてみると、虚零線のふたつの零点の間には必ず傾きが零になる点が存在し、そこを微分零線が通ります。一方で、bz座標で考えると、a=0.5上の実零線は零点をふたつ持っていて、その間に必ず谷底があり、そこも必ず微分零線が通過します。

ですから、p1に向けて3方向から線が来ることになりますが、これがひとつの線として繋がることは不可能です。それゆえ、この図のような場合が起きることはありません。起きないことが起きるとは、最初に前提にした「リーマン零点がペアで存在する」という命題が起こり得ないことを証明しています。


同じ条件で別の図も想定可能です。

nami59 の図
x1とx2の間にp1が来て、x2とx3の間にp2が来ることも想定可能です。この場合、p1は虚零線の上下の膨らみの先端なので微分零線が通ります。これが南下すると実零線と交差します。しかし、ここに実零線の左右の膨らみがないので、通り抜けられないと言う矛盾が生じます。

この実零線を運良く通り抜けられたとします。すると、p1,q2,p2と繋がる微分零線(緑)と、q1を通る微分零線が可能となり、先に述べて種類の矛盾は無くなります。しかし、a=0.5を2本の微分零線が通過しています。微分零線が奇数であるのは許容されますが、偶数であることはありません。これは矛盾です。

p1とq3が繋がり、p2とq1が繋がると考えると先に述べた矛盾はなくなります。しかし、この場合はa=0.5上に一本も微分零線が通らないことになります。a=0.5上に実部零点がふたつあるのに、その間に山か谷がないということはあり得ません。そして、山があるのに山頂がない、もしくは、谷があるのに谷底がないということはありえません。ですから、この場合も矛盾が生じます。

このように矛盾が生じるということは、最初の前提であるx1,x2,x3と並ぶリーマン零点が存在しないことを意味しています。




■6の14■      事例(1,2)

nami82 の図
事例(1,2)は、実零線が横U字形のみで、虚零線が横一本線がふたつのときです。

この場合、x1とx2を別々の線が通ることになります。実零線の横U字形の内部からは一本の虚零線しか出てこないので、もう一本は外から来ることになります。ただ、外から来て横U字形の内部に入ると困ったことになるので、接触するだけで通過することも想定可能です。

この場合、接触という形があり得ないことは原則3で証明できています。

その他の問題点は、微分零線の形です。実零線の左右の膨らみの先端をq1とします。ここをbについて微分した零線が通ります。また、横U字形の内部には常に微分零線が通るので、そのひとつをq2とします。また、虚部をaについて微分した零線と先の実部の零線とは一致するので、これを同じ緑色で示すことにします。この虚部の微分零線はx1,x2の間に必ず少なくともひとつは存在しています。これが北上しても実零線を越えられないという問題がありますが、運良く越えられたとします。すると、微分零線がq1,q2,p1 と3つの方向から集まってきます。これがひとつの線として繋がることは出来ないので、ここに大きな矛盾が生じます。

nami82c の図
実零線と虚零線が交わるように作図すると右のようになります。この場合の矛盾点は先の図と同じで、q1,q2,p2 がひとつの線として繋がらないことです。このような矛盾があるということは、このような図があり得ないと言うことを示しています。








■6の15■      事例(1,3)

nami82b の図
事例(1,3)は、実零線が横U字形のみで、虚零線が横一本線と右横U字形のときです。x1を横一本線が通り、x2を右横U字形が通るので、作図しにくいのですが、x3を想定すると何とか作図できます。

この場合は、x1x3を虚零線が通り、その間に必ず上に膨らむ先端が生じ、そこをaについて微分した式の微分零線が通ります。それが南下してくるとき、実零線を越えなければなりません。しかし、ここに実零線の左右の膨らみがないので、線が途切れてしまい、矛盾が生じます。





■6の16■      事例(1,4)


nami83 の図
事例(1,4)は、実零線が横U字形のみで、虚零線が横一本線と左横U字形ときです。この場合は、(1,3)と基本的に同じことで、p2を通過して北上する微分零線が実零線と交わることが出来ず、通過できないと言う問題が生じています。


事例(1,5)は、(1,4)と同じ問題点なので説明は省略します。




■6の17■      事例(1,6)

nami66b の図
事例(1,6)は、実零線が横U字形で、虚零線が右横U字形のときです。この事例ではx1とx2の間にp1があり、x2とx3の間にp2があります。q1を通過した微分零線(緑)はp2を経由してp1に向かいますが、間に実零線の左右の膨らみがないので通り抜け出来ません。微分零線が途中で消えるというのはあり得ないことで、矛盾です。

また、微分零線は必ずp1を通りますが、それが北上したとき実零線とぶつかります。しかし、この実零線にも左右の膨らみはないので通過できず、矛盾が生じます。

また、それを通過したとすると、そこに微分零線がなければならず、それがさらに北上してゆきます。そこには右からはq1を通る微分零線、左からはq2を通る微分零線が集まりますが、これら3本の線分がひとつの線になることは不可能です。これも矛盾です。

このような矛盾が生じるということは、最初に仮定した「リーマン零点がペアで存在する」という命題が成り立たないことを証明しています。




■6の18■      事例(1,7)

nami88d の図
事例(1,7)は、横U字形と、右横U字形と横一本線の場合です。右横U字形がx1を通過して実零線の内部に入りますが、外に出るために再度交わると、そこがリーマン零点になる矛盾が生じます。それゆえ、出口は必ずa=0.5上の点でなければなりません。その点をx3とします。

この場合、x1とx3の間に必ず膨らみが出来るので、その先端をp1とします。そこを通る微分零線が南下して実零線を越えなければなりませんが、そこに実零線の左右の膨らみがないので、通り抜けられません。これは矛盾です。




■6の19■      事例(1,8) nami108 の図


事例(1,8)は横U字形と、右横U字形がふたつの場合です。普通に考えると作図そのものが出来ないので、右図のようにx2の交点を作ると何とか図になります。

この場合、虚零線の上下の膨らみの先端をp1とすると、これが北上してp3に繋がるわけですが、途中に実零線があり、そこに左右の膨らみがないので、実零線を越えられないという矛盾が生じます。




■6の20■      事例(1,9) nami88b の図


事例(1,9)は、横U字形と、右横U字形と左横U字形の場合です。

この場合も、(1,8)と同様、p1を通る微分零線が実零線を越えられません。


事例(1,10)も同じ矛盾なので説明を省略します。




■6の21■      事例(1,11) nami87 の図


事例(1,11)は、実零線が横U字形で、虚零線が左横U字形のときです。

この場合は実部をbで微分した式の零線がq1,q2を通っています。また、虚部をaで微分した式の零線もp1,p2を通過しています。これらがひとつの線に繋がることは不可能なので、最初の前提が間違っていることが証明されています。

また、実部横U字形の内部にはa=-∞から繋がっている虚零線が必ず存在しています。もし、虚零線の左横U字形がリーマン零点を通るなら、a=-∞からの虚零線が通るべき点が無くなってしまいます。これも矛盾です。




■6の22■      事例(1,12) nami88 の図


事例(1,12)は、実零線が横U字形で、虚零線が左横U字形と横一本線の場合です。作図そのものがかなり苦しい形ですが、何とか描くことが出来ました。

実部をbについて微分した式の零線と、虚部をaについて微分した式の零線は一致するので、同じシアン色で示してあります。虚零線の左右の膨らみの頂点をp1とします。ここを通過する微分零線が右下に向かいp3と繋がりますが、その間に実零線があります。その実零線に上下の膨らみがないので通過できません。これは矛盾です。

事例(1,13)は、実零線が横U字形で、虚零線が左横U字形と右横U字形のときですが、(1,12)と同じ論理を使うので省略。




■6の23■      事例(1,14) nami89 の図


事例(1,14)は、実零線が横U字形で、虚零線が左横U字形ふたつのときです。

なんとか作図したのが右図ですが、この場合、x1を横に切った線上にある虚零線のp1を通る微分零線が南下したとき、実零線とぶつかります。ここに実零線の左右の膨らみがないので通過できないという矛盾が生じます。その他の矛盾については省略します。




■6の24■      事例(1,15) nami89b の図


事例(1,15)は、実零線が横U字形で、虚零線が左横U字形と輪のときです。a=0.5上の点も含めて、リーマン零点を5つにすると何とか作図が可能となります。

この場合、虚零線の輪が作る上下の膨らみの先端をp1とします。これが南下してきますが、そこにある実零線を越えることが出来ないという矛盾が生じます。




■6の25■      事例(1,16) nami90 の図


事例(1,16)は、実零線が横U字形で、虚零線が輪のときです。この場合も微分零線が通るべき道がいくつか発生します。実零線の右の膨らみの頂点をq1とします。L1線上に実零点がふたつあるので、その間に必ず頂点があり、そこが微分の零点になります。それをq2とします。また、虚部をaで微分したときの零線がp1を通ります。すると実零線内部に3つの線分が発生し、これをひとつに繋ぐことは不可能になります。

また、実零線の横U字形の内部には必ず虚零線が走っています。それが実零線と交わる場所がリーマン零点となりますが、それを考慮すると作図が出来なくなります。接触する形があり得ないことは証明済みです。このような矛盾点が生じるのは最初の前提が成り立たないからです。


(1,17)から(1,20)は、同じ種類の矛盾が生じるので説明を省略します。





■6の26■      事例(2,1) nami98 の図


事例(2,1)は、実零線が横U字形ふたつで、それぞれがx1とx2の零点を通過します。虚零線は横一本線ひとつがx1とx2の両方を通過します。

この事例については、いろいろな検討すべき形があるので、項目を分けて分析することにします。最初の事例は右図のような場合です。実零線同士が交差していますが、この場合、x1とx2以外にリーマン零点はないので、p1とp2からの虚零線が実零線と交わる事が出来なくなります。虚零線が途中で立ち消えになるのは、明らかな矛盾です。ですから、このような図はあり得ないということが証明できました。




■6の27■      事例(2,1)の別例(2) nami72 の図


右図の場合、a=0.5上にあるx3,x4を通るので、矛盾は生じません。しかし、q1を通る微分零線はq2も通りますが、そのあと北上し、虚零線とぶつかります。しかし、ここに虚零線の左右の膨らみがないので、通過できません。これは矛盾です。このような矛盾を生じさせる最初の前提は成り立ちません。




■6の28■     事例(2,1)の別例(3) nami99b の図


この事例では、p1からの虚零線がx1,x2を通ってリーマン零点を作っています。p2とp3を結ぶ虚零線は零点を作ることなく、互いに繋がりますが、p1からの虚零線と交差しています。同じ種類の零線同士が交差するとは、不自然だと思いますが、特異点を根拠とする証明は不備があるので、この事例については第7部での新しいやり方で矛盾点を指摘することにし、ここでは矛盾無しと判定しておきます。




■6の29■     事例(2,1)の別例(4) nami102 の図


上にあった横U字形が降りてきて、ふたつの横U字形が横に並ぶというこは通常考えられませんが、証明ですから、これも検討対象に入れることにします。虚零線は横一本線の形で、ひとつでx1,x2を通過しています。この場合、x2を通過したあとの虚零線は実零線の中に入ります。上側の実零線横U字形の内部にある虚零線と繋がるなら自然ですが、横一本線という最初の条件があるので、それを避けると、外に出られないと言う矛盾になります。もし、この矛盾がないように作図すると右図のようになります。

接触があり得ないことは既に証明済みですが、それは横に置いておくとして、p1から伸びてくる虚零線の行き場が無くなるという矛盾が生じます。




■6の30■     事例(2,2) nami102g の図


事例(2,2)は、実零線がふたつで、横一本線がふたつのときです。この場合は、p1から伸びる虚零線もあるので、合計3本の虚零線となります。

この事例の場合は、交点が少ないので、微分零線を使う論法では矛盾が指摘できません。




■6の31■      事例(2,3)

事例(2,3)は、実零線がふたつで、虚零線が横一本線と右横U字形の場合ですが、矛盾が生じないので、分析を第7部に委ねます。


(2,4)は作図出来ないので省略、




■6の32■      事例(2,5) nami102h の図


事例(2,5)は、実零線がふたつで、虚零線が横一本線と輪の場合ですが、p1からの虚零線が繋がらなくなってしますので、矛盾が生じます。

(2,6)は作図出来ないので省略、




■6の33■      事例(2,7)


事例(2,7)は、実零線がふたつで、虚零線が右横U字形と横一本線のときです。この場合は矛盾を指摘できないので、第7部に委ねます。


(2,8)も矛盾が無いので、第7部に委ねます。

(2,9)から(2,20)までは作図出来ないか、以前の説明とまったく同じになるので省略します。




■6の34■      事例(3,1) nami93 の図


事例(3,1)は、実零線が横U字形と輪、虚零線が横一本線でx1,x2を通るときです。

この場合は、虚零線が実零線の輪の中に入れないので、右図では接触の形にしてあります。しかし、接触することもあり得ないので、矛盾となります。

その他の矛盾点としては、p1から北上する微分零線とq2,q3を通過する微分零線がひとつの線になれないと言う矛盾があります。

以上の矛盾から、このような事例はあり得ないことが証明できました。


(3,2)から(3,20)までは、すべて実零線が輪になっているので、ここに同じ種類の矛盾が生じます。ですから、すべてあり得ない事例となるので、説明は省略します。




■6の35■      事例(4,1) nami95 の図


事例(4,1)は、実零線が輪、虚零線が横一本線のみのときです。この場合、実部をaについて微分した式の零線がp1とp2を通ることになりますが、その間に虚零線があるので、それを通り越すことが出来ず繋がらないという矛盾が生じます。


(4,2)と(4,3)は作図不能なので省略。




■6の36■      事例(4,4) nami96 の図


事例(4,4)は、実零線が輪で、虚零線が横1本線と左横U字形のときです。この場合、リーマン零点が4つになり、横1本線が作るのがx1, x3、左横U字形が作るのがx2, x4 です。実零線の上下の先端をp1,p2とします。p1を通った微分零線はp2へ抜けてゆきます。この間に虚零線がないので、問題なく南下できて矛盾は何も生じません。しかし、虚零線の左右の膨らみがあるので、その先端p3,p4を通る微分零線があります。これがどこかに繋がらなければならないので、結局、p1とp4, p2とp3、もしくは、p1とp3、p2とp4と繋がる以外にあり得ません。しかし、p3, p4を通り抜けたあとにまた実零線があり、ここに上下の先端がないので、通り抜けられず、線が繋がりません。これは矛盾です。

このような不可能の結論になるのは最初の前提が間違っていたからであり、実零線が輪になることがないことが示されています

nami96b の図
ただし、右図のように虚零線に左右の膨らみの無い場合には矛盾はなくなります。この場合は、微分零線による分析では矛盾が生じないので、実零線と虚零線が直交するという法則を使います。右図の場合、実零線と虚零線が直交してないので矛盾がないのですが、直交すると上下・左右の膨らみが生じて、その先端を微分零線が通らなければならなくなります。

虚零線がx1と直交するなら、明らかに上側の膨らみが生じます。また、x3と直交するなら、明らかに右側に膨らみを生じさせます。必ず膨らみが生じるので、その先端を通る微分零線があり、その微分零線が実零線を通り抜けられなくなるので、すべての場合に矛盾が生じます。このような矛盾が起きるのは、最初の前提が間違っていたことを示しています。


事例(4,5)は同じ論理を使うので省略します。(4,6)は(4,1)と同じなので省略。(4,7)から(4,10)は(4,4)と同じなので説明を省略します。(4,11)は(4,1)と同じ、(4,12)は(4,4)と同じ、(4,13)は作図不能、(4,14)と(4,15)は(4,4)と同じ、(4,16)は(4,1)と同じ、(4,17)から(4,20)は(4,4)と同じなので説明を省略します。




■6の37■      事例(5,1) nami103a の図


事例(5,1)は、実零線が輪と横U字形、虚零線が横一本線のときです。この場合、輪になっている実零線をaについて微分した零線が通る点をq1,q2 とします。この線は途中虚零線を通過しなければなりませんが、そこに虚零線の左右の膨らみがないので、通過できません。これは矛盾です。




■6の38■      事例(5,2) nami104a の図


事例(5,2)は、実零線が輪と横U字形、虚零線が横一本線ふたつのときです。

この場合も実零線の輪に注目して、その微分零線の通過点をq1,q2としたとき、この微分線が虚零線を通過できないという矛盾が生じます。


以下、実零線に輪のあるときはすべてそこに同じ種類の矛盾が生じるので、(5,3)から(5,20)までは説明を省略させていただきます。




■6の39■      事例(6,1) nami81 の図


事例(6,1)は、実零線が輪がふたつ、虚零線が横一本線のみのときです。この場合、ひとつの輪を通過するために零点がふたつ必要なので、合計4つのリーマン零点が発生します。接するだけのときは2つの零点になりますが、実零線と虚零線は接触で交わることはありません。

さて、ひとつの輪に注目したとき、そこに必ず実零線の上膨らみと下の膨らみが存在するので、その先端p3, p4を微分零線が通ることになります。それが虚零線と交わるときに、虚零線の左右の膨らみを通過します。しかし、虚零線に左右の膨らみがないので、通過できないという矛盾が生じています。


(6,2)と(6,3)も同じ論理で矛盾を指摘できます。




■6の40■      事例(6,4) nami115a の図


事例(6,4)は、実零線が輪ふたつ、虚零線が一本線と左横U字形のときです。

この場合も、普通に作図するとすぐに矛盾点を指摘できますが、右図のように虚零線が膨らみを作らないように交わると、矛盾が生じなくなります。

この場合は、実零線と虚零線が直交することを前提にすると、虚零線に必ず膨らみが生じることが判り、矛盾が発生します。


以下、(6,5)から(6,20)までは、実零線の輪の中に同じ種類の矛盾が生じるので説明は省略させていただきます。




■6の41■      事例検討の纏め


さて、以上で実零線・虚零線のすべての場合の検討が終わりました。それらのほとんどで矛盾が生じていますが、いくつか矛盾の起きない事例が見つかりました。事例(2,2)や(2,3)のように、実零線が横U字形ふたつで、虚零線が横一本線か右横U字形のときの組み合わせの場合です。これについては、第7部で取り上げることにして、ここでは、それ以外は矛盾が生じることを証明できたことを認めていただければと思います。







証明の第1部

証明の第2部、第3部

証明の第4部

証明の第5部

証明の第6部

証明の第7部、第8部



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