hirokuroの リーマン仮説(リーマン予想)証明


k_th_dif_b(s)と和分線による証明


ver79    new 2021/05/19





k(s) の極座標における角度は a=0.5 軸上で公式化できるほど安定した変化をしています。証明を完成させるためには矛盾と判定できる根拠が必要ですが、その根拠の少ないことがリーマン証明の最大の壁となっているように思います。そこで、この安定した角度のどこかに証明の根拠として使える現象があるのではないかという期待の下に k_th(s) を分析してみました。

k_th(s) は k(s) の極座標角度を示す関数です。計算式は、s1=k(s) とすると、s1 = a + b*i として、θ=atan(b/a) です。絶対値rは無視します。k_th(s)=θ ということです。

θは実数です。k_th(s) の s は複素数ですが、答えは実数となります。xyz座標で、xyに対して値はひとつという構造です。sという複素平面上にθという実数値が定まることになります。

θは実数とはいうものの、角度なので、普通の実数ではありません。2pi ごとに循環しているので、無限という概念がありません。図示すると無限のように見えるのですが、実態は同じ場所をぐるぐる回っています。ですから、0 も 2pi も同じ数です。1 と 1+2pi そして 1-2pi も同じです。




■      k_th(s) の零線図


k_th_a-5_b0_04 の図 k_th(s) の零線図は k(s) と同じ・・・というか、ほとんど同じです。θ=0 のときが虚零線となり、θ=pi/2 のときが実零線となります。k(s) の零線図は何度も載せているので、詳しくは ver20 などを参照してください。

右図は b=0 から b=30 あたりまでの零線図(角度0線図)です。k(s) の虚零線図と同じであることがわかります。pi/2 線図は実零線と同じになります。

角度をxz座標で表示すると、断線したように見える箇所が発生します。角度なので pi から -pi へと繋がっていますが、図では断線したように表示されます。零点計算プログラムも、この断線を0と誤解し、実際は零でないのに、零線を描くことがあります。これをゴーストと呼ぶことにします。プログラムを完全にするのは面倒なので、旧式のプログラムのまま計算しています。それでときどきゴーストが発生します。実際の零線でないときもあるので、注意が必要です。





■      k_th(s) を微分した関数   k_th_dif(s)


k_th(s) は角度なので、k(s) のときのような角度増加はありません。k_th(s) のすべては xyz座標(3次元空間)の中の横に広がる面として確定します。(1,0) と リーマン零点上が特異点となっていますが、それ以外は微分可能です。この微分には角度があります。この角度は k_th(s) の角度ではなく、k_th(s)上の点の周りの360度のことです。この360度の中から選ぶ角度で微分するので、これを微分角度と呼ぶことにします。どの角度から微分するかで零線図が変化します。その微分角度ごとに傾きがあり、計算で求めることができます。その傾きが微分係数となります。

k_th(s) の微分には、a方向(xy座標での横方向)の微分 k_th_dif_a(s) や、 b方向(縦方向)の微分 k_th_dif_b(s) などがあります。a方向とは th=0 ということで、b方向とは th=pi/2 です。角度 th は360度、どの角度でも選べます。ver79証明では b(s) とともに、th=pi/2 をわずかに増加させた角度の微分を取り上げますが、その角度は pi/2 と形を合わせるため pi を使って表示します。たとえば、th=9pi/16 のようなものです。割り算記号は保存表記として受け付けてくれないので、これを省いて、k_th_dif_9pi16(s) を式の名称とします。piのあとには割り算記号があると思ってください。







■      k_th_dif_b(s) の零線図


k_th_dif_b_a-5_b0 の図 k_th(s) を縦方向に微分したものが k_th_dif_b(s) です。

b=0 から b=30 までの図です。零線が a=0.5 に接する形になっています。b > 10  で、a=0.5 を超える線はありません。リーマン零点は、零点であるにも関わらず、角度を持ち、縦方向には微分可能なので、この点を微分零線は横方向に通過できません。

ならば、「左側に零線は存在しない」と言えると証明は簡単になりますが、そうはうまくいきません。b < 10 に零線があるし、b > 10 に零線がないことを証明できないからです。リーマン証明では、左側に零線があると仮定して、その上で、そこにどういう矛盾があるかを示すことを目標としています。





■      dif_b(s) の a=0.5 上の値


k_th_dif_b_a05_b0_tate の図 a=0.5 上の値は b=7 あたりから上はすべてマイナスになります。それは k_th(s)  a=0.5 の角度公式が右肩下がりだからです。プラスになることはなく、また、零になることもありません。

角度公式は長いので、近似式を載せておきます。  k_th(0.5+b*i) = - 1/2 * { b*ln(b) - b*ln(2*pi*e) - pi/4 + 1/24/b - . . . }  dif_b(s) はその微分なので、dif_b(0.5+b*i) = - 1/2 * { ln(b) + 1 - ln(2*pi*e) - 1/24b^2 ... } となります。完全公式に興味がある方は、「私の発見した数学公式・第12の広場・付録7」を参照してください。

公式があるので a=0.5 の値はマイナスであることは作図、および、証明の根拠として使えます。

b(s)の特異点は、b方向では微分可能なので、傾きを持ち、零にはなりません。しかし、b方向以外では微分できず、零線が集まってくるところがあり、ここが見かけ上の零点(特異点)となります。この点は k(s) の零点と同じ場所です。b(s) の零線は縦に通過するだけで、横に通過することはできません。





■      dif_b(s) の右無限


k_th_dif_b_a10_b0_zatu の図 dif_b(s) の右無限は零になりますが、2^a を掛けるとサイン曲線になります。ただし、サインとは言うものの、式はマイナスを介したコサインです。 -ln(2)*cos(b*ln(2))/2^a となります。







■      dif_b(s) の左無限


k_th_dif_b_a-5_b20_yoko の図 左無限はマイナスになります。右図は b=20 のときの横軸です。a=-5 で -1.2 あたりにあるので、そのまま左無限に向かっているように見えます。

bを増やすとマイナス方向に増加します。






k_th_dif_b_a-5_b0_tate_02 の図 これを縦軸で考えてみます。a=-5 で、xy座標を描いてみると、右図のようになります。

青線が b(s) の線で、赤線が b(s)+ln(b) の線です。

bを増やしても赤線の値に大きな変化はありません。1.84 あたりに収束しそうです。もし、赤線が収束するなら、青線はマイナス方向に増加し続けるということなので、零になることはありません。

なお、収束値 1.84  は ln(2pi) = 1.837877  にきわめて近いことは注目されます。






■      dif_b(s) の和分線


k_th_dif_b_a-5_b20_watun の図 dif_b(s) で、a=0.5 の左と右を足したものを和分線と名付けます。
dif_b(1-a+b*i) + dif_b(a+b*i)
という式です。この線は横軸に対して平らな線になる特徴があります。

右図は b=20 のときのものですが、一見して平らであることがわかります。ただし、厳密に調べるとやや湾曲しています。

bを増やすと平らな線のままマイナス方向に移動します。どこまでも下がり続けるように見えるので、その下がり方を調べることにします。すると、ln(b) との関連が見えてきます。





k_th_dif_b_a0_b0_watun の図 右図は a=0 のときのものです。青線は和分線の値で、赤線は ln(b) を足した値です。収束しそうに見えるので、さらに先まで計算したところ、ln(2pi) = 1.837877 に収束していることがわかりました。








k_th_dif_b_a-5_b30_watun の図   右図は b=30 のときの和分線、横軸のグラフです。青が和分、赤が ln(b) を足したものです。

赤線の値が 1.8213 となっています。ln(2pi) に近い数字ですが、bを増やすとさらに近づきます。

bを増やすと青線はますます下がりますが、赤線は一定ということです。赤線が一定であるとは、青線が零になることがないことを示しています。






k_th_dif_b_a0_b1413_watun の図 特異点を通る和分線もマイナス領域で平らな線になります。

右図は b=14.13 のときの和分線です。特異点は無限点で、その左右はプラス、マイナスの巨大数ですが、足すことにより互いに打ち消しあっています。







<追記>

dif_b(s) の 和分関数の a=0 上の値を公式化することに成功しました。和分関数を wa_b(s) とすると、

wa_b(0+b*i) = ln(2pi) -ln(b) - 1/12b^2 - 1/120b^4 - 1/252b^6 - ....

で、これをベルヌーイ数 B(r) で書き直すと、

wa_b(0+b*i) = ln(2pi) - ln(b) - B(2)/2b^2 + B(4)/4b^4 - B(6)/6b^6 + B(8)/8b^8 - B(10)/10B^10 - ....

つまり、

wa_b(0+b*i) = ln(2pi) - ln(b) + Σ_[r=2,∞](-1)^(r/2)*B(r)/rb^r

となります。







■      dif_b(s) の差分線


k_th_dif_b_a0_a1_b10_satun の図 dif_b(s) の a=0.5 の左から右の値を引いた値が差分です。この線は全体としては右肩上がりですが、bによっては様々な形をとります。しかし、差分線なので、a=0.5 は必ず零ですし、左右はマイナスを介した対称となります。

右図は b=10 のときのものです。右肩上がりの直線になっています。この直線は、完全なものではありません。a の範囲を拡大すると歪みが生じます。





k_th_dif_b_a-5_b20_satun の図右図は b=20 のときのものです。全体的には直線ではなくなっています。しかし、マイナスを介した左右対称であることは変わりません。また、証明の対象となる 0 < a < 1 では直線であり、a=0.5 の左右での符号変化がないことも確認できます。








k_th_dif_b_a-5_b14'5_satun の図右図は b=14.5 のときのものです。特異点の近くなので、線が盛り上がっています。符号の変化はないことに注目します。









差分線の左右の無限点は同じ絶対値になります。その値を調べたところ、+- 1.8378-ln(b) となりました。この 1.8378 は ln(2pi) であると判定しても差し支えないほど一致しています。これで、差分線の左無限がマイナス、右無限がプラスであることが確定しました。






■      仮定上の特異点がある場合の差分線


仮定上の特異点がある場合、差分線は普通の形にはなりません。なぜなら、特異点の左側はマイナス無限であり、右側はプラス無限だからです。

k_th_dif_b_a-5_b1413_yoko_zatu の図 右図は通常の特異点のある場所の横軸図です。b=14.13 としてあります。青が b(s)線、赤が差分線です。特異点近くで赤線が蒼線よりもより大きく動いています。仮定上の特異点でも同じことが起きていると考えられます。









k_th_dif_b_katei00 の図 A図は仮定上の特異点がある場合の想定横軸図です。無限大に至る場合、常に差分線のほうが大きく動くという前提で描いています。特異点の右側では青線も赤線もプラスであり、赤線は青線より上にあるという原則は仮定上の図でも成り立つはずです。特異点の左側では、その逆で、青線も赤線もマイナスで、赤線は青線より下にあります。a=0.5 では差分線は必ず零になります。その他の点ではどうなるかは不定です。

B図は、仮定上の零点の近くで橙線を引いた場合の図です。特異点近くではそれなりに大きな数になり、右側では、青線も赤線もプラス、左側ではマイナスという原則は崩れません。また、赤線は青線より上、もしくは、下という原則も崩れません。ただ、差分線の零点はD印の右か左かは不定です。

問題は、この原則が証明の根拠として使えるかどうかということです。a=0.5上にある特異点の原則が、仮定上の特異点に適用できる場合もあるでしょうが、出来ないこともあるわけで、この差分線の原則が適用できるかどうか、どうやって判断するのかわりません。

こういう判らないときは、どちらもあり得るということで証明を進めるべきだろうと判断し、差分線の形はもっといろいろあるという結論を前提にすることにしました。しかし、あまりに多様であると分析そのものが複雑化し、また、どれでやっても結局は矛盾なしという結論になるはずなので、以下の証明では差分線の分析はすべて取り外すことにしました。

差分線を除外しても証明が完成すればよいのですが、もし、失敗するときはまた差分線に戻って、そこから再度出発することになるでしょう。






■      b(s) の 和分線(差分線) による証明手順


今回の ver79 証明では 和分線、(差分線)、を使って矛盾をあぶりだすことがメインになっています。ここでどのように使うかを解説しておきます。

仮定上の特異点を持つ dif_b(s) 線は、仮定上なので実際に計算することはできません。そこで、いくつかの条件のもとでいろいろな形を想定することになりますが、その想定のすべてで矛盾を指摘できれば証明が成功したということになります。その矛盾を指摘する手段が 和分線 (差分線) ということです。

どのように使うかを説明するために、まずは実際の b(s) 線と和分線、(差分線)の関係を確認し、そのうえで、矛盾の生じる事例を取り上げることにします。

b=38 の横線を例にとります。ただ、実際の図はどこに交点があるかわかりにくいので、少し変形した図を用いて説明します。

k_th_dif_b_a-5_b38_watun の図 右図の青線が b(s) 線、ピンク線が和分線です。青線は計算上 a=0.7 と a=3.3 あたりで零になります。ピンク線はマイナス領域を横に走ります。a=0.5 軸を基準に対称点である a=0.3 と a=-2.3 を見ると、-1.8 に近い値を取ることが確認できます。

また、a=0.5 上の青の値は -0.9 ですが、和分線はその倍の -1.8 を通ります。青点とx印を通る青線を引くことができるので、矛盾はありません。なお、橙線、ピンク線を、青点やx印以外の場所で通過することはできません。



差分線は分析に使わないことにしたので省略します。



k_th_dif_b_a-5_b38_zatu02 の図 矛盾が生じるとはどういうことかを見ておきます。

右図が和分線(ピンク線)の分析です。b(s)が青線のような動きをすると仮定しましょう。すると、その和分線はマイナス領域を横に走るものとなるはずです。P1は零点なので、その対称点の値がそのまま和分線の通り道になります。それが p1 です。同じように P2 の零点に対して p2 があり、P3 に対して p3、 P4 に対して p4 があります。これら p1, p2, p3, p4 を和分線が通らなければなりません。合わせて、青点も通らなければなりません。また、橙線、ピンク線は、青点、小黒点以外のところを通り抜けることはできません。この条件で p2, p3, p4 を青線は通ることができません。つまり、線を引くことができません。これは矛盾であると判定されます。矛盾を起こすような図は実際に存在することはありません。





■      微分角度を増加させるとは


b(s) の分析で矛盾が見つからないときは、微分角度を増加させた関数での分析に移ります。微分角度とは k_th(s) をどの角度で微分するかというときの角度です。dif_b(s) は th=pi/2  で微分したものです。dif_a(s) は th=0 で微分したものです。b(s) の角度を増加させるとは th=pi/2 + α で微分するということです。αは小さい数なのですが、あまり小さいと図として b(s) とほとんど同じになるので、ここでは th=9pi/16 を使って実際の図を計算しておきます。

th=9pi/16 は th=pi/2 + pi/16 ということです。α=pi/16 です。この関数の表記を k_th_dif_9pi16(s) とします。割り算記号 / は保存のとき名前として受け付けてくれないので、省いています。表記は 9pi16 ですが、piのあとに割り算記号があると思ってください。

k_th_dif_9pi16_a-5_b0 の図 右図は th=9pi/16 の零線図です。b(s) とほとんど同じであることが確認できます。













k_th_dif_9pi16_a-5_b20_yoko_zatu の図 右図は b=20 の横軸図です。青が th=9pi/16 図で、赤が和分線です。ほとんど平らですが、やや歪みが生じています。









k_th_dif_9pi16_a-5_b142_yoko_zatu の図 右図は特異点近くの b=14.2 の横軸図です。赤の和分線がa=0.5付近で盛り上がり、プラス領域に達しています。











和分線が平らであることが証明の根拠として使われますが、th=9pi/16 の場合、平らにならないこともあります。平らであることが要求されるなら、αをさらに小さくすることで対応できます。αはいくらでも小さくできるので、結局、th=pi/2 の和分線と同じになります。また、平らでないことが確定するなら、その確定した形で和分線の分析を続けることができます。

9pi16(s) を使うのは、あくまで図示するためであって、証明の考え方としては pi/2 をわずかに増加させた角度で微分するということです。非常にわずかな違いですが、橙線を特異点近くで引くと、pi/2 と異なる図が必ず現れます。それを用いるということです。







■      仮定上の零点のある場合


もし k(s) に仮定上の零点があるとすると、k_th_dif_b(s) のその場所に特異点があることになります。k(s) の仮定上の零点は a=0.5 から等距離のところに横に並んで発生します。同じく、dif_b(s) でも横に並んで発生することになります。そして、その特異点を通る零線があり、その零線が様々な形をとることが予想されます。もし、そのすべての予想される図に矛盾を指摘できるなら、最初の k(s) の図が存在しないことになり、仮定上の零点が存在しないことが証明されたことになります。

そこで、dif_b(s) の仮定上の特異点を通る零線図を分析し、そのすべてに矛盾点を見つけることを目標に、可能な零線図のすべてを検討することにします。

dif_b(s) の零線は a=0.5 よりも左に出ないのが普通です。しかし、仮定上の特異点がある場所では、ひとつは必ず a=0.5 軸より左になります。その際、零線が a=0.5 を跨ぐことはありません。なぜなら、a=0.5 上の値は b=7 以上で常にマイナスだからです。左の仮定上の特異点を通る零線は右側の零線に繋がることができません。また、左の無限点に達することもできません。ゆえに、必ず自らに繋がって輪になります。輪になるとき、特異点に対して右にできる場合と左にできる場合があります。

a=0.5軸より右にある仮定上の特異点を通る零線はいろいろな形をとる可能性があります。プラス領域で輪になる場合を(1)、右無限がプラスの場所で、マイナス領域で輪になる場合を(2)、右無限がマイナスの場所で、マイナス領域で輪になる場合を(3)、左にプラス領域があるところで、マイナス領域で輪になる場合を (4) 上か下の零線と繋がる場合を(5)、青線輪の中に輪ができる場合を(6)、その他を(7) とします。

左はすべて輪になるので、右の分類の中で、左の輪が特異点の右にできるときと、左にできるときを区別し、また右側の輪も同じく特異点の右と左に分けで分析することにします。どちらの輪に対しても左に特異点がある場合、右側の輪に対して特異点が右にある場合、左側の輪に対して右にある場合、どちらも輪に対して右にある場合の順序で分析します。

仮定上のことなので、青線の引き方はかなり自由です。説明が複雑にならないように、まずは単純な 形について証明し、その変形となる複雑な形については(7)で取り上げ、まとめて解説、および、証明します。








■      (1、1)右はプラス領域で輪


k_th_dif_b_katei01 の図 a=0.5軸より左にある特異点を通る b(s)零線(青線)が輪を作り、a=0.5軸右にある特異点を通る零線がプラス領域で輪になる場合を取り上げます。プラス領域とは、零線(青線)の右側ということなので、輪の左側に別の零線が走ることになります。それを図示すると右図になります。

分析のため、特異点の上側に橙色の線を引きます。この線上のb(s) の青線の値がどう変化するかを調べます。和分線はマイナス領域を横に流れる線になります。これをシアン色で表示します。左右の v 記号は特異点と同じ距離の場所を示していて、a=0.5 から等距離のところです。

左の青点は零点、右の対応する青線の値との合計が和分線の値になります。それゆえ、青線は右の和分線上の点(小黒点)を通らなければなりません。その点が右側の(1)と(2)です。

b(s) の右無限はプラスで、右の輪の中はマイナス、左の輪の中はプラスです。右のプラス領域を走る青線は右の輪の零点(青点)を通過してマイナス領域を走り、次の青点でプラス領域に抜け、次の青点でマイナス領域に戻ります。その間、(1)と(2)の点を通らなければなりません。しかし、小黒点(1)と(2)を通る線を引くことができません。

また、a=0.5 の小黒点を通過した青線は次の小黒点を通るためにはシアン線を越えなければなりません。しかし、これはできません。

これらの矛盾があるゆえに、このような図になることはありません。






■      (1,2) 右の輪の向きが逆のとき


k_th_dif_b_katei01_01_07 の図 a=0.5軸の右側の輪を別の描き方にすると上記の矛盾はなくなります。ただし、和分での分析で矛盾を生じさせないためには、左側の輪の幅は右側よりも狭くしなければなりません。










k_th_dif_b_katei01_01_05 の図 微分角度は b(s)では th=pi/2 になっています。これをわずかに増やすと、特異点を通る青線は左に傾きます。橙線を特異点の上側に引いて、そこでの青線の動きを検討します。和分線(シアン線)はマイナス領域を横に走ります。青点に対応する箇所に小黒点を打ちます。青点と小黒点のすべてを通る青線を引かなければなりません。しかし、まったく引くことができず、矛盾と判定されます。、

b(s)図から連続して変化した図に矛盾が起きるということは、そのもとになった b(s)図が存在しないことを意味しています。






■      (1,3) 左の輪が逆向きのとき


k_th_dif_b_katei01_03_03 の図 輪の向きが違うときは別の分析が必要になります。(1,1)の図の左側の輪の向きを逆にして、輪が特異点の左にくるように作図します。その場合、b(s) の和分線には矛盾は生じません。ただし、左の輪の幅が右よりも狭くなければなりません。












k_th_dif_b_katei01_03_04 の図 そこで、微分角度を増加させた図を用います。b(s)は th=pi/2 ですが、th=9pi/16 などとすると特異点を通る青線は左に傾きます。連続の変化なので、途中で青線があらぬ方向に向かう可能性もありますが、そのときはより pi/2 に近い角度を選ぶことができます。ですから、必ず傾いた青線の図を得ることができます。

特異点上側に橙線を引きます。線上での青線の動きを分析します。すると、かなり苦しいですが、線を引くことはできます。

そこで、特異点の下側にピンク線を引いて、同じような分析をします。すると今度は青点の位置が変わるので、線を引けなくなります。このような矛盾が起きるということは、この図が成り立たないことを示しています。





■      (1,4) 左右の輪の向きが逆のとき


k_th_dif_b_katei01_06 の図 左の輪が特異点の左にあり、右の輪も左にあるときは和分線に矛盾が生じます。

和分線は左右対称で、マイナス領域を横に流れます。青点と反対側にある対応する点である小黒点を足したものが和分線の値になるので、小黒点は和分線上の点になります。青線は青点と小黒点の両方を通らなければなりません。しかし、右プラス領域を走る青線は右小黒点を通ることができません。これは矛盾です。






■      (2、1)右はマイナス領域で輪 (その1)


k_th_dif_b_katei02_01_06 の図 右無限がプラスの場所で、a=0.5軸右側の青線がマイナス領域で輪になるときが右図です。

一番右に青線があり、その内側に輪ができています。

この場合、和分線には矛盾がありません。










k_th_dif_b_katei02_07 の図 b(s)線に矛盾がないときは、微分角度を増加させた図で検討します。

特異点を通る青線を左に傾けると青点がv印の左側に移動します。それに合わせて小黒点を打ちます。すると先の図では通れたところが通れなくなっています。このような矛盾は発生してはならないので、この図は実際には存在しないことになります。

b(s)図から連続して変化した図に矛盾があるということは、b(s)図が成り立たないことを意味しています。







■      (2,2) 右青線輪の向きが逆の場合


k_th_dif_b_katei02_01 の図 (2,1)の図で、a=0.5軸より右にある青線輪の向きが特異点に対して逆向きのとき、右図のようになります。

この場合は、和分線に矛盾が生じます。

和分線はマイナス領域を横に走る線(シアン線)です。青点に対応する点を小黒点で示してあります。青線は青点と小黒点の両方を通らなければなりません。

右端のプラス領域から始まった青線は最初の青点を通過した後、次の青点か、小黒点のいずれかを通過しなければなりません。青点と小黒点のどちらか、a=0.5 から遠いかは不定ですが、どちらが先でも他方を通過することができません。ゆえに矛盾と判定されます。






■      (2,3) 左青線輪の向きが逆のとき


k_th_dif_b_katei02_05 の図 (2,1)の図で、左の青線輪が特異点に対して左側に来る場合です。

この場合は和分線で考えます。和分線はシアン色で示した線で、マイナス領域を横に走っています。左の青点と対応するのはシアン線上右側にある小黒点です。右のプラス領域から出た青線は最初の青点を通過後、マイナスとなり、シアン線上の小黒点を通りたいのですが、そうすると青点を通れなくなります。

また、左側の青線もシアン線を通過できず、小黒点にたどり着けません。これも矛盾です。

こういう矛盾の起きる零線図になることはありません。





■      (2,4) 左右の青線輪が逆向きのとき


k_th_dif_b_katei02_09 の図 (2、1)の図で、左右の青線輪がともに逆向きのときを分析します。

特異点上側に橙線を引いて、青線の動きを和分線で分析します。すると、問題なく線を引けるので、矛盾なしと判定されます。








k_th_dif_b_katei02_09_01 の図 そこで、微分角度増加図を使って分析します。微分角度をわずかに増加させると、特異点を通る青線は左にやや傾きます。上側に線を引くと先の図と同じになるので、特異点の下側に橙線を引きます。橙線上に青点を打ち、それに対応するところに小黒点を打ちます。a=0.5の値はマイナスなので、そこから右に向かって青線を引きますが、小黒点を通ることができません。また、左に向かう青線も小黒点を通ると青点を通れなくなります。ゆえに、矛盾となります。

このような矛盾が起きる(2,4)の図になることはありません。







■      (3、1)右無限がマイナス領域の場所で輪になる (その2)


k_th_dif_b_katei03_01_02 の図 右無限に至るまでマイナスであるところで輪になる場合です。この場合、和分線に矛盾はありません。














k_th_dif_b_katei03_01_04 の図この場合は、微分角度を増加させた図を用います。図を左回りに少し動かすと橙線との交点が左にずれます。するとv印の左に零点が発生します。その図で分析すると和分線に矛盾が生じます。この図になることがないということは、b(s)の図が成り立たないことを意味しています。












■      (3、2) 右青線輪が特異点に対して逆向きのとき


k_th_dif_b_katei03_09 の図 (3,1)の図の右青線輪が特異点に対して逆向きになっているときを検討します。

特異点の上側に橙線を引き、その線上の青線の動きを調べます。和分線はマイナス領域を横に走ります。その線上に青点に対応する小黒点があります。a=0.5上にも和分線の半分の値を取る小黒点があります。これらの青点と小黒点を通る青線がなければなりません。

青線輪の中はプラスです。右からマイナス領域を走ってくる青線は、最初に一番右の小黒点を通り、すぐ上の青点を上に抜けます。それが可能となるためには、小黒点が青点の右に位置しなければなりません。次の青点から下って、次の小黒点を通過します。そのためには、小黒点が青点の左に位置しなければなりません。つまり、青点の距離は、小黒点間の距離より短くなければなりません。

小黒点を通過した青線はシアン線の下に出ます。しかし、そこから a=0.5にある小黒点に上ることができません。シアン線上に別の小黒点がないからです。これは矛盾です。

また、左の青点を通るためには、小黒点間の距離が青点より広くなければなりません。しかし、左の小黒点の距離は、右の青点と同じであり、青点の距離は右の小黒点間の距離と同じですから、青線を引くことができません。これも矛盾です。

こういう矛盾の起きる図になることはありません。






■      (3、3) 左青線輪が特異点に対して逆向きのとき


k_th_dif_b_katei03_08 の図 (3,1)の図の右青線輪はそのままで、左だけ逆向きになったときを検討します。

特異点上側を通る橙線を引きます。この線上で青線の動きと、和分線を比較します。輪の中はプラスで、a=0.5軸上の値はマイナスで、和分線の半分です。

左の青点に対応する右側の値は和分線上にあるので、そこに小黒点を打ちます。右の青点に対応する左側の値は和分線上にあるので、そこに小黒点を打ちます。b(s)の青線は青点と小黒点を通らなければなりません。また、右無限からの青線はマイナス領域を走ります。左無限に向けてもマイナス領域を走ります。

この条件で青線を引きます。すると、一番右の小黒点は青点より右になければ線を引くことができません。また、2番目の小黒点はすぐ上の青点より左になければなりません。すると、青点の距離よりも小黒点の距離が大きくなります。

2番目の小黒点を超えた青線はシアン線より下に来ます。そして、a=0.5上の小黒点は和分線の半分なので、そこに向かって上らなければなりません。しかし、小黒点以外のところでシアン線を超えることができないので、a=0.5 の小黒点に到達することができません。

また、左のふたつの小黒点の距離は右の青点の距離と同じなので、左の青点の距離より短くなります。すると、小黒点を出た青線は青点に到達できません。これは矛盾です。

ゆえに、このような図になることはありません。






■      (3、4) 左右の青線輪が逆のとき


k_th_dif_b_katei03_10_02 の図 (3,1)の図の右と左の青線輪が特異点に対して逆向きになっているときを検討します。

特異点上側に橙線を引いて、青線の動きを調べると、和分線については矛盾なく線を引けます。






k_th_dif_b_katei03_10_01 の図右図は微分角度を増加させたものです。橙線を特異点の上に引くと先の分析と同じになるので、下にもってきます。すると青点がv印の右にきます。その上で和分線を使って分析すると矛盾が発生します。

ゆえに、この矛盾と連続の関係にある(3,4)の図は成り立ちません。






■      (4、1)右はマイナス領域で輪、その輪とa=0.5軸の間にもうひとつの輪があるとき


k_th_dif_b_katei07_01_04 の図 普通の特異点を通る輪があり、その右側に仮定上の特異点がある場合を検討します。

右図では a=0.5軸のすぐ右に青線輪があり、その輪を俣くように仮定上の特異点があります。その特異点を通る青線は右側で輪になっています。左の特異点の右側にも輪があります。

特異点上側に橙線を横に引き、その線上での青線の動きから矛盾を見つけます。和分線には矛盾はありません。



k_th_dif_b_katei07_13 の図 そこで、微分角度を増加させた図で検討します。

微分角度を増加させると特異点を通る零線を少し左に傾けた図になります。この場合の和分線は中央右側にあった輪の一部が左にはみ出して零点を作ります。すると、a=0.5 がプラスの値を取ることになります。すると和分線が常にマイナスではなくなります。これは b(s) としてはありえないことですが、微分角度が異なるので、プラスになることもあり得るということです。ですから、和分線はこの部分だけ山なりになります。

a=0.5 点から出発した青線は右に向かうと、小黒点があるので、それを越えて、次の青点へと到達します。次に隣の青点に向かいたいのですが、下のシアン線上にある小黒点を通らなければなりません。それを超えると青点に到達できなくなります。これは矛盾です。a=0.5 から左に向かうと青点を通り左に抜けてゆきますが、ひとつ小黒点を飛ばしてしまいます。これも矛盾です。これらの矛盾のある図は成り立ちません。

中央の輪に繋がる特異点が図の上方にあることも考えられます。そのときは、橙線の図が変化するので、それを和分(2)として分析します。橙線との交点が a=0.5 軸の右になることがあります。その場合は、a=0.5の値はマイナスです。右に進むと青点をふたつ超えて、下の小黒点も通り抜けられます。しかし、その次の青点に上昇することができず、次の小黒点に付きます。ひとつ青点を飛ばすことになりますが、これは矛盾となります。左に向かう青線もひとつ小黒点を通ることができず矛盾となります。

結局、(1)も(2)も矛盾があるので、このような図になることはありません。






■      (4,2) 右青線輪が逆向きの時


k_th_dif_b_katei07_07 の図 (4,1)図の右青線輪が特異点の左側にくるときを検討します。

和分線は横に流れる線(シアン線)です。その上に青点に対応する箇所に小黒点を打ちます。a=0.5 の値は和分線の半分なのでその場所に小黒点を打ちます。これらの青点、小黒点のすべてを通る青線を引かなければなりません。すると、右の小黒点を通るためには、青点より幅が広くなければなりません。ところが、そのように作図すると、左の小黒点の幅が狭くなり、青線を引くことができなくなります。これは矛盾です。このような図になることはありません。





■      (4,3) 左青線輪の向きが逆のとき


k_th_dif_b_katei07_08 の図 (4,1)図の左青線輪が左側にあるときを検討します。

和分線上に小黒点を打ちます。a=0.5の下に小黒点を打ちます。青点と小黒点のすべてを通る青線を引かなければなりません。点のない場所を通り抜けることはできません。すると数か所に矛盾が生じます。

その中のひとつは、右小黒点の幅と左青点の幅が同じなので、右を青線が通れるように作図すると左が通れなくなるという矛盾があります。

このような矛盾が起きる図になることはありません。






■      (4,4) 左右の青線輪の向きが逆のとき


k_th_dif_b_katei07_09_02 の図 (4,1)図での青線輪の向きが左右ともに逆になる場合を検討します。

この場合、和分線に矛盾はありません。









k_th_dif_b_katei07_09_01 の図 そこで、微分角度増加図を使います。

特異点の上側だと先の図と同じになるので、下側に橙線を引きます。そのうえで、青点と対応する箇所に小黒点を打って、青線を引けるかどうかを検討します。この図の場合は、a=0.5 軸を跨いで青線輪が出来ているので、a=0.5の値はプラスになります。そこを通るように青線を引き、そのまま他の点を通るように線を伸ばします。すると、青点と小黒点の位置がずれたことにより青線が引けなくなっています。

中央の普通の特異点から出た青線がa=0.5軸の右に来る場合もあり得ます。全体図は載せませんが、橙線の上にある青点をa=0.5軸の右にずらした図で分析します。それが(2)図です。この場合も小黒点を通ることができず、矛盾が発生しています。

ゆえに、(4,4)の図になることはありません。






■      (5、1)右は他の線に繋がる


k_th_dif_b_katei04_01_04 の図 右の特異点を通る青線が輪にならず、上と下にある零線と繋がる場合、特異点の右側はプラスになります。その図の和分線に矛盾はありません。











k_th_dif_b_katei04_02 の図 そこで、微分角度を増加させて青線を左に傾けた図を作ります。橙線上の青点が左にずれ、シアン線上の小黒点が右にずれます。すると、青線の引けない図になってしまいます。

こういう矛盾の起きる図のもとになった図にも矛盾があるということなので、(5,1)図になることはありません。







■      (5,2)右の単独線と橙線の交点がv印の右にくるとき


k_th_dif_b_katei04_01_05 の図 右青線がより右によって、特異点より右側で橙繊維交わるとき、別の分析が必要になります。

右v印の右に青点が発生しています。和分線の場合、対応するシアン線上に小黒点を打ちます。そして、青線を引くと、問題なく線を引くことができます。矛盾はありません。







k_th_dif_b_katei04_01_03 の図 そこで、微分角度増加図を使って検討します。

特異点に関わる零線はわずかに左に傾き、橙線との交点がv印の左に来ます。右の線は特異点に関わらないので、左に来るとは限りませんが、和分(1)では左に来るとして検討します。すると、この青点に対応する小黒点は右に移動するので、a=0.5 から左に向かう青線が小黒点を通れなくなります。これは矛盾です。

右の線がそのままで、v印の右にとどまるとき、和分(2)の分析になります。この図では青線が引けるので矛盾はありません。しかし、橙線の引き方は自由に選べます。もっと特異点近くを通るようにするなら、そこを通る青線は必ず左に傾いているので、v印の左にきます。そのとき、橙線上の分析をするなら、和分(1)と同じ結論になり、矛盾と判定されます。

よって、この形が現れることはありません。





■      (5,3) 左の青線輪の向きが逆のとき


k_th_dif_b_katei04_01 の図 (5,1)図で、左の輪の向きを逆にすると、和分線に矛盾が生じます。

このような矛盾の起きる図になることはありません。










■      (5,4) 右青線がより右を通るとき


k_th_dif_b_katei04_01_07 の図 a=0.5軸の右にある青線が特異点より右にあると、橙線の構造に変化が起きるので、別途検討します。

右v印のさらに右に青点があるということは、左の青点と対応する小黒点の場所と重なってしまいます。どちらも通るわけにはいかないので、線を引くことはできず、矛盾となります。このような図になることはありません。







■      (6、1) 青線輪の中に仮定上の特異点があるとき



k_th_dif_b_katei05_02 の図 b(s) の零線図の b=53 あたりに卵型の青線輪が見つかります。普通の青線が輪になることがあるということで、この輪の中に仮定上の特異点がある場合を検討します。

普通の輪なので a=0.5軸と接する場所に特異点があります。その大きな輪の中に特異点とそこを通る小さな輪があります。右図がその一例です。

仮定上の特異点の少し上のところに橙線を引きます。この線上の青線の動きを検討します。和分線はマイナス領域を横に走ります。その線上に青点との対応点があるので、そこに小黒点を打ちます。また、a=0.5の値は必ずマイナスで、値は和分関数の半分なので、そこにも小黒点を打ちます。これらの青点と小黒点のすべてを通る線を引くことが出来れば矛盾がないということです。

しかし、右側の小黒点を通ることが出来ず、左側ではシアン線を超えられず、矛盾となります。つまり、このような図になることはできません。






■      (6,2) 右の青線輪が逆向きの時


k_th_dif_b_katei05_04_10 の図 右の青線輪が逆を向いているときを分析します。仮定上の特異点の上側に橙線を引きます。そして、和分線(シアン線)をマイナス領域で横に走らせます。

v印は特異点と等距離の場所です。v印を基準にして、青点に対応するシアン線上に小黒点を打ちます。a=0.5の値はマイナスなので、橙線と和分線の間に小黒点を打ちます。これらすべての点を通る青線を引くことができるかどうかを検討します。すると、問題なく線が引けるので、矛盾なしと判定されます。




k_th_dif_b_katei05_04_09 の図 そこで、微分角度増加図で検討します。

橙線を特異点上側に引きます。すると、a=0.5軸がプラスになります。そこで、a=0.5のプラス領域に小黒点を打ちます。この場所の和分線は小黒点の2倍の値なので、そこを通るように線を引きます。通常はマイナス領域を走るのですが、ここだけを変形させる必要があります。こういう変形は b(s) の場合は許されませんが、増加図の場合は当然ありうる形です。しかし、全体はマイナス領域を走る線であることに変わりありません。

青点に対応する箇所に小黒点を打ちます。そのうえで、すべての点を通るように青線を引こうとしますが、通ることのできない点があるので、矛盾と判定されます。

大きな輪の描き方によっては、a=0.5軸近くの青点が軸の右に来ることもあり得ません。その場合の分析が「別図形の和分」です。この場合も矛盾が生じています。

ゆえに、(6,2)図になることはありません。






■      (6、3) 左青線輪が逆向きのとき


k_th_dif_b_katei05_01_02 の図 (6,1)の図での左にある青線輪が逆向きのとき、右図のようになります。

仮定上の特異点上側に橙線を引きます。その線上の青線の動きを調べます。和分線はマイナス領域を横に走る線(シアン線)になるので、対応するところを小黒点で示します。青線は小黒点と青点を通らなければなりません。すると、矛盾なく線を引けます。







k_th_dif_b_katei05_01_01 の図 そこで、微分角度増加図を使います。青線を左に傾けると青点の場所が変わります。それに対応した小黒点を打って、青線を引いてみると、いくつか通れない点が現れます。しかし、和分(1)の図の小黒点を少しずらすと青線を引けないこともない図になります。

そこで、矛盾をはっきりさせるために、橙線を特異点の下側に引くことにします。そのうえで再度青点と小黒点を描き、青線を引いてみると、今度ははっきりと線が引けなくなっています。これは矛盾です。



k_th_dif_b_katei05_01_03 の図 中央の大きな輪の特異点の位置によっては橙線との交点がa=0.5軸の左に来ることがあり得ます。その場合が和分(3)となります。このとき、a=0.5の値はプラスです。青線を引こうとしますが、うまく引けません。しかし、小黒点の場所をずらすと引けるかもしれないという微妙な図になります。

この場合は、橙線の場所を特異点の下側に移動させます。そのうえで、青点と小黒点を書き直して分析すると、今度は初めから線の引けない図になります。矛盾が発生しています。

ゆえに、(6,3)の図になることはありません。






■      (6,4) 左右の青線輪が逆向きの時


k_th_dif_b_katei05_05_02 の図 (6,1)の青線輪の向きを左右とも逆にしたものです。

この場合、仮定上の特異点上側に橙線を引いて、その線上の青線の動きを検討します。和分線(シアン線)をマイナス領域に描きます。その線上で青点に対応するところに小黒点を打ちます。これらの点を通る青線がなければなりません。

結果として、2ヵ所に問題が生じます。右側の小黒点を通る青線がありません。また、a=0.5の小黒点を超えたあと、左の青線に繋がりません。これらの矛盾が生じるので、この図は成り立ちません。






■      (7) その他


k_th_dif_b_katei06 の図 青線の引き方はいろいろあります。b(s)線は過度の湾曲などしないのですが、しないことの証明ができないので、湾曲する可能性も想定して証明しなければなりません。輪というのも、丸い輪だけでなく、歪んだ輪も考慮しなければなりません。右図にあるように、橙線と複数回交差する形も検討しなければなりません。ここでは、基本形では取り上げにくかった形を取り上げ、それもまた矛盾が生じることを示します。

b(s)線(青線)は、特異点を右から接するように縦に通過します。a=0.5軸を超えることはありません。それ以外の条件は特にありません。左にある仮定上の特異点の場合は、その周りに普通のb(s)線(青線)がないので、特異点を通る青線は必ず輪になります。その輪が歪んで様々な形を取りますが、橙線との交点は常に偶数個という条件が付きます。右側の仮定上の特異点については特に条件はありません。

結局は、多くの歪みがあったとしても、橙線上の青点の数と位置で分析のパターンが決まります。そのパターンのすべてを検討すれば、すべての零線図を検討したことになります。

そこで、橙線上での分析の区域を設定します。青点や小黒点はある程度右に、左にずらすことが可能です。移動可能な範囲を区域とします。第1区域はa=0.5軸の左側にあるv印の左側です。第2区域は、そのv印からa=0.5軸まで、第3区域はa=0.5軸の右側からv印まで、第4区域はv印の右側全体です。

この区域の中で、青点、小黒点はある程度のずれは許されます。しかし、特異点から来る青線上にある青点(交点)はいくらでも特異点に近づけることのできる点で、特異点から離れることができないという条件が付きます。ゆえに、この青点のことを特別青点と呼び、分析の際に考慮しなければなりません。また、この点に対応する小黒点も特異点から離れることはできません。この点も特別小黒点と呼ぶことにします。

特別青点と特別小黒点の位置が証明の分析に重要な影響を与えるので、まずはこの特別な点の場所を最初に設定し、そのあとで青点の数を設定することにします。

第一区域に特別青点がある場合、もうひとつの特異点を通る青線上の交点は第3区域か、第4区域のどちらかに発生します。そこで、第3区域に発生する場合を A型 、第4区域に発生する場合を B型 と名付けます。第2区域に特別青点が発生する場合も同様に、もうひとつの特異点を通る青線が作る交点の場所が第3区域にある場合を C型 、第4区域にある場合を D型 と名付けます。

これで4種類のパターンができました。これらの区域に普通の青点が発生するのですが、a=0.5軸の左側では青点の数が偶数個であることは決まっているので、最初は2までの数の範囲で分析します。右側については、1であることもあるので、偶数という条件はありません。こちらも2までの数としておきます。左側も、右側も、特別青点があるので、零ということはありません。

以上の条件を踏まえて、橙線上のパターンを分類すると、特別青点を除いて、左側では、第1区域での数は0か、1のいずれかです。第2区域も同じく、0か1です。組み合わせは<1,0>、<0,1>しかありません。<0,0>と<1,1>は合計数が特別青点を加えると奇数になるので除かれます。右側は、第3区域と第4区域の場所ですが、0と1の組み合わせは <0,0>、<1,0>、<0,1>、<1,1>の4通りとなります。これに特別青点の数を加えるので、パターン表記の仕方として、左側と右側を合体させ <2,0,1,1>のように書くことにします。左から、第1、第2、第3、第4区域と並びます。どこに特別青点があるかということは、その型の名前がAであれば、第1と第3、Bであれば、第1と第4ということです。

A型は <2,0,1,0>、<2,0,1,1>、<2,0,2,0>、<2,0,2,1>、<1,1,1,0>、<1,1,1,1>、<1,1,2,0>、<1,1,2,1> の8種類

B型は <2,0,0,1>、<2,0,0,2>、<2,0,1,1>、<2,0,1,2>、<1,1,0,1>、<1,1,0,2>、<1,1,1,1>、<1,1,1,2> の8種類

C型は <1,1,1,0>、<1,1,1,1>、<1,1,2,0>、<1,1,2,1>、<0,2,1,0>、<0,2,1,1>、<0,2,2,0>、<0,2,2,1> の8種類

D型は <1,1,0,1>、<1,1,0,2>、<1,1,1,1>、<1,1,1,2>、<0,2,0,1>、<0,2,0,2>、<0,2,1,1>、<0,2,1,2> の8種類

これらの中の、第1区域、第2区域の <2,0>と<0,2>タイプのほとんどは、すでに零線図の分析の中で登場したものなので、ここでは省きますが、零線図で登場しなかったのは <2,0,1,1>と<0,2,1,1>なので、ここで、それを分析し、残りの <1,1>タイプはあとで纏めて分析することにします。






■      <2,0,1,1> の分析


k_th_dif_b_katei03_10_10 の図 A型の <2,0,1,1>は右図のようになります。橙線上の青線の動きだけで分析するので、右青線が輪であるかどうかは問題ではありません。図の外から降りてくる別の青線と繋がっていても分析内容に変わりありません。

A型なので、第3区域に青点が出来ています。これが特別青点です。左の特別青点に対応する右の特別小黒点はv印の右にあるので、青線はこれを通ることができません。これは矛盾となります。



k_th_dif_b_katei03_10_11 の図 B型の場合、分析内容はかなり異なります。

B型なので、特別青点は第4区域にあります。特別小黒点も第4区域にあるので、青線を引くことができます。

これでは矛盾が起きないので、微分角度を増加させて橙線上の青点を左に移動させる方法を使います。しかし、これも矛盾が起きません。

そこで、特異点下側にピンク線を引いて、別の分析を試みます。ここでの分析もそのままでは先の分析と同じになるので、この場所で微分角度を増加させます。すると、特異点下側なので、青点の動きが逆になります。ピンク線上の青点は右にずれます。シアン線上の小黒点は左にずれます。それが(2)図になります。この図では特別小黒点がv印の左に来るので、青線を引くことができません。このような図の変更は可能ですから、その可能な図に矛盾があるということは、最初の図に矛盾があるということを意味します。

ゆえに <2,0,1,1> は成り立ちません。



■      <0,2,1,1> の分析


k_th_dif_b_katei03_10_12 の図 C型の <0,2,1,1> は右図のようになります。C型は第2と第3区域に特別青点があります。(1)図は普通に分析したもので、やや苦しいところはありますが、青線を引くことはできます。

そこで、微分角度を増加させて、図を左に傾かせ、橙線上の青点を左に、シアン線上の小黒点を右にずらします。すると、青線を引けなくなるので矛盾となります。







k_th_dif_b_katei03_10_13 の図 D型の場合、第2、第4区域に特別青点があります。この場合、普通に分析すると矛盾が生じます。

ゆえに、
<0,2,1,1> は成り立ちません。










■      a=0.5軸左が <1,1> の場合


以上で、零線図での分析を含めて、軸左が <2,0>、<0,2> である場合をすべて分析しました。

残るのは <1,1> の場合です。これについても、A型、B型、C型、D型があり、それぞれ a=0.5右のパターンがあります。全部で16通りです。すこし数が多いので、零線図を示すことなく、橙線上の分析だけで結果を示すことにします。

k_th_dif_b_katei03_10_09 の図 A型は右図のように纏められます。第一区域と第三区域に特別青点があり、特異点から直接来る青線上に交点があります。特別青点とそれに対応する小黒点には x 印を付けてあります。

特別青点はv印の近くになければならないので、あまり動かせません。特にv印を超えることはできません。すると、右図のように、それぞれ青線を引けない点が現れて、矛盾となります。












k_th_dif_b_katei03_10_08 の図 B型は第1区域と、第4区域に特別青点がある場合です。

<1,1,0,1>図には矛盾がないので、微分角度を増加させて、図を左に傾けます。すると、橙線上の青点は左にずれます。第4区域にあった青点は第3区域に移動します。その状態で橙線を分析すると、青線を引けなくなるので、矛盾となります。

<1,1,0,2>も同じで、そのままでは矛盾が生じません。そこで、微分角度増加により青点の位置を左に移動させます。それが次の図です。橙線は左に移動し、シアン線は右に移動するので、青線を引けなくなります。矛盾です。

<1,1,1,1>と<1,1,1,2>にはその図のままで矛盾が見つかります。









k_th_dif_b_katei03_10_06 の図 C型は、第2区域と第3区域に特別青点がある場合です。

<1,1,1,0>と<1,1,1,1>は、そのままの図に矛盾が見つかります。

<1,1,2,0>では、そのままでは矛盾が見つかりません。微分角度増加で青点を左にずらしても、同じ図になります。そこで、橙線の場所を変更します。特異点下側に橙線の代わりにピンク線を引き、その上での青線の動きを分析します。この図で微分角度を増加させると、特異点下側なので、ピンク線は右に動きます。シアン線は左に動きます。すると、第3区域にあった特別青点が第4区域に移動し、青線が引けなくなります。これは矛盾と判定されます。

<1,1,2,1>も同じで、特異点下側のピンク線で分析します。この形で微分角度を増加させると青点は右に移動し、小黒点は左に移動します。すると青線が引けなくなるので、矛盾となります。






k_th_dif_b_katei03_10_07 の図 D型は、第2区域と第4区域に特別青点があります。

D型はどれも、そのままの図に矛盾があります。


















■      数字に偶数を加えることは分析の結果を左右しないことの説明


数字に偶数を加えることが分析結果を左右しないことの実例を紹介しておきます。

「左右しない」と言いましたが、厳密に言うと、矛盾なしとされた事例に偶数個加えると矛盾となることがあります。この結論は証明に有利に働くので、あまり問題ではありません。矛盾であると判定された事例に偶数個を加えると矛盾がなくなる事例があるかどうか?です。そして結論は「ない」です。なぜかというと、偶数個とは、ひとつの青点があると、それを超えて青線が別領域に進出します。そして、もうひとつの青点でまた元のところに戻ります。戻る場所は同じ区域なので、結局作図としては同じ形になるからです。

k_th_dif_b_katei08_02 の図 右図の(1)は A型<2,0,2,0>です。この図には矛盾はありません。そして、第一区画の2に2を加えて4にしてみます。それが(2)です。青点が2個増えていますが、何の変化もない図となります。ですから、矛盾はありません。偶数個を加えるとはそういうことです。

(3)は <2,2,2,0> という図です。この場合、第2区画の0に2を加えたものです。この場合は、青線が引けなくなっているので、矛盾となります。このように、矛盾でないものが、2を加えることにより矛盾を生じさせることがあります。これは証明にとって有利に働きます。





k_th_dif_b_katei08_03 の図 右図の(1)は B型<2,0,0,2>です。この図には矛盾があります。そして、第4区画の2に2を加えて4にしてみます。それが(2)です。右端に青点がふたつ追加されています。すると、矛盾がなくなるどころか、ひとつ増えています。

<2,2,0,2>型にしてみましょう。第2区画の0に2を加えたものです。この場合も、すでにある矛盾について変更させる要素はありません。


既存の形に偶数個を加えるということは、すでにある矛盾を取り去るものではないので、既存の形に矛盾があれば、すべての形に矛盾があることになります。

既存の形とは、数字が小さいもので、零線図を描ける数だけの零点がある場合ですが、すでに 0,1,2 の数については分析が終わっています。3は 1+2 ということなので、1の分析でカバーされます。すでに零線図分析で3のパターンが登場しているので、それを再検討することで、1の場合と同じ分析になっているかどうかを検討してみましょう。

k_th_dif_b_katei02_01_07 の図 (2,1)の事例は D型<0,2,0,3> となっています。D型<0,2,0,1>と比較したのが右図です。

<0,2,0,1>と同じ分析結果になっているので、結局、3である必要はないことがわかります。






どのような b(s)図であれ、必ず特異点上側、もしくは下側に橙線を引いたとき、分析図を作ることができます。そして、零点の数を数えることができ、第1区域、第2区域、第3区域、第4区域に分けることができ、<4,8,6,3>などのような表記が可能になります。そして、その零点(青点)の中に必ず、特異点から伸びてきた青線上の零点が存在し、それを特別青点として区別することができます。その特別青点を除いて、残りの青点をふたつづつ減らすことが可能です。<4,8,6,3>なら、<2,6,4,1>となり、さらに減らすと<0,4,2,1>となり、<0,2,2,1>となります。もし、2の数の青点が特別青点でなければ、さらに減らすことができますが、もし、その場所に特別青点があるなら、これが最小となります。2の場所に特別青点がある形はC型なので、C型の<0、2、2、1>を見ると、すでに「矛盾あり」という結論が出ていることが確認できます。ならば、それぞれの区域に偶数を加えた<4,8,6,3>も矛盾ありということになるのです。

どのように湾曲した零線図であれ、橙線上の交点の数は有限ですから、必ず32通りある基本形に還元できます。その基本形で分析が終了していて、すべて「矛盾あり」という結果になっているのですから、すべての形で矛盾が生じることになります。よって、b(s)の仮定上の特異点は存在しないことが確定しました。

k_th_dif_b(s)の図で仮定上の特異点が存在しないことは、k(s)の仮定上の零点が存在しないことと同値ですから、リーマン仮設証明(リーマン予想証明)はこれで完成したことになります。






<以上、証明終わり>
















証明の第1部

証明の第2部、第3部

証明の第4部

証明の第5部

証明の第6部

証明の第7部、第8部





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