hirokuroの リーマン仮説(リーマン予想)証明


su_dif(s)による証明


ver80_su    updatede 2024/04/14





ver79 証明は、k_th_dif(s) だけではなく、ber_th_dif(s) や su_th_dif(s) を使っても、同じ論理で証明できるので、ver79_ber, ver79_su などを付け加えました。しかし、su_th_dif(s) 証明を再検証している際に、証明の論理に誤りを見つけたので、新しい証明にチャレンジすることになりました。それが今回の ver80_su です。

本来なら、k_th_dif(s) を使って証明すべきなのですが、たまたま su_th_dif(s) を検証しているときに誤りを見つけたので su_th_dif(s) を使って修正するのを先にすることにしました。いずれ k_th_dif(s) でも同じ論理で証明は可能だと思うので、あとで追加する予定です。また、su_th_dif(s) の方が分かりやすいという面もあります。

ver79 が間違っていたところは、「微分角度を増加させたとき、和分線にプラス領域が生じないタイミングがあると判定したこと」です。実際は、特異点を含んでいるので、増加した瞬間にプラス領域が現れていました。特異点なので連続性が壊れたという言い方はできません。ですから、矛盾ではないのです。矛盾ではないと証明が成り立ちません。

そういうわけで、少し戻って、差分線を使うやり方に戻すことにしました。


先の証明でも説明しているように、su(s) = B(s)/s! と定義されています。B(s) = - s * k(1-s) ですから、su(s) = - k(1-s) / (s-1)! ということになります。su(s) と k(s) は兄弟関数ですから、su(s) で成り立てば、k(s) でも成り立つということです。つまり、k(s) にもし仮定上の零点があるなら、su(s) にも同じ場所に零点があることになります。また、su_th_dif(s) は su(s) の極座標角度関数である su_th(s) を微分したものです。どの方向から微分するかで値は異なります。その方向のことを微分角度と言うことにします。極座標角度のことではありません。




■      su(s) の零線図


su(s) や su_th(s) の説明は前回の証明でもしていますが、重要なので、同じものを載せておきます。違いがあるのは差分線(差分関数)のところです。

su_b10 の図 su(s) は今まであまり取り上げてこなかったので、零線図から説明します。この零線図は s! と似たところがあり、線が詰まっていて、そのままでは図として見難くなります。そこで、b=10 あたりの拡大図を載せておきます。







su_b14 の図 さらに拡大すると右図のようになります。k(s) と同じところに零点が出来ているのがわかります。












■      su_th(s)

su_th_b14 の図 su(s) の極座標角度関数が su_th(s) です。この零線図も載せておきます。s=a+b*i とすると、 th=atan(b/a) です。この th は実数ですが、角度なので 2*pi ごとに循環します。この図は su(s) とほとんど同じです。k(s)の場合もそうでしたが、角度関数零線図はもとの関数と同じ図になるということのようです。

一部、ゴーストと呼ばれる線も描かれています。そこは零ではなく、断線となるところですが、修正の必要はないと思うので、そのままにしておきます。




■      su_th_dif(s)


su_th(s) を微分した関数が su_th_dif(s) です。どの方向から微分するかが重要になるので、この微分角度を ox*pi として su_th_dif_ox(s) と書くことにします。便宜上名前を短くして su_dif(s)、su_dif_ox(s) などと表記することもあります。

ver79 では、おもに ox=0.5 の場合を取り上げましたが、ver80 では、すべての微分角度を考慮した証明となります。

k(s) の零点は su_dif_ox(s) では特異点となっています。そこを零線が通ります。そのときの零線の方向・傾きは微分角度により定まります。これは k(s) の場合と同じです。ox=0 のときは横に流れ、ox が増えると傾きも強くなります。ox=0.5 は縦に微分するということなので、微分零線も縦に流れます。これはどの関数でも見られる普遍的な現象なので、証明の根拠に使うことができます。

特異点を通る零線は断線することなく、分岐することなく、無限大に行くか、どこかに繋がらなければなりません。su_dif(s) の場合、無限大に達することもありますが、通常は自らに繋がって小さな輪になっています。どういうときに輪になり、どういうときにならないかはあとで説明します。まずは実際の輪を見てみましょう。


su_dif_0pi_a05_b14 の図 ox=0 つまり、角度零は横方向からの微分です。b=14 近くの特異点では右図のような輪が現れます。

横からの微分なので、零線は a=0.5 上にある特異点に対してまっすぐ横に流れます。

輪の内部がプラスで、外はマイナスです。





su_dif_01pi_a05_b14 の図 角度をやや増やすと輪が左方向に回転します。ox=0.1 のとき、右図のようになります。

a=0.5 上の特異点に対して零線がやや傾いていることが確認できます。

角度を増やすと、それに応じて輪の場所はさらに右により、零線の傾きも大きくなります。





su_dif_03pi_a05_b14 の図 ox=0.3 のときが右図です。












su_dif_1pi2_b14 の図 ox=0.5 では零線が a=0.5軸と接する形になるため、縦に流れます。

b=20 あたりの次の特異点でも同じような図が現れ、その上の特異点でも同じです。これが無限に続くものと考えられますが、計算した範囲では・・・ということなので、証明としては輪になると断言することはできません。詳しくはあとでまた説明します。




su_dif_06pi_a05_b14 の図 ox=0.6 では零線がさらに左に傾きます。a=0.5軸との交点がふたつありますが、下のほうが特異点の場所で、そこを通る零線の角度は 0.6*pi です。零点の右上側がプラスで、そこに輪が広がっています。









su_dif_07pi_a05_b14 の図 ox=0.7 ではさらに左に傾いていることがわかります。

ox=0.8 以降は輪が無くなるときもあるので、あとでまた取り上げます。












このような輪が仮定上の特異点の周りにあるという前提で証明は進められますが、特異点があるならそこを零線が通るということは証明の大前提です。特異点とは値を持たない点のことで、通常は無限大を意味しています。そこに零線が集まるのは k(s) と同じです。なぜそうなるかのうまい説明がまだできませんが、普遍的事実ですから、これを証明の材料として使うことにします。k(s)の仮定上の零点には零線が通っているという前提ですから、su_dif(s) の特異点にも零線が通るということは前提としておかなければなりません。




■      差分線


差分線とは差分関数とも言えるもので、

su_dif_ox(a+b*i) - su_dif_ox(1-a+b*i)

と定義されます。xy座標の横軸の対称点を引いたものと理解できます。su_dif_ox(s) の場合、微分角度ox により差分線の形はある程度変わりますが、oxが小さいときはおもに右肩上がりの線になり、oxが1に近づくと右肩下がりの線になります。


su_sabun_0pi_b10 の図 右図は ox=0 のときの b=10 差分線で、a=-5 から 5 までの図です。縦軸は su_dif_ox(s) の値で、xy座標のzにあたるものです。直線に近い形で a=0.5軸を通り抜けています。




su_sabun_1pi_b10 の図 ox=1 になると上下逆になります。b=10 で a=-5 の値が +0.503 ですから、ox=0 の値とマイナスを介して一致しています。

ox=0 から ox=1 までの変化はすべて連続ですが、具体的にどう変化するかは証明に関わる重要事項ですので、あとで説明します。

差分線はおもに直線に近い形をとることが多いのですが、ox の増加とともにいろいろな形を取ります。



ここで注意が必要なのは b < 0 においては b > 0 と少し異なっていることです。今回のリーマン証明には直接関係しないので取り上げませんが、これから説明するのは b > 0 の範囲のことであることを初めにお断りしておきます。




su_sabun_02pi_a-5_b15 の図 ox の増加と共に差分線の形が真っすぐではなくなることが増えてきます。

ox=0.2 で b=15 のときの差分線の図を載せておきます。こういう形になることもあります。






su_sabun_07pi_b14134725 の図 特異点を通るときは無限点を通過します。ox=0.7 のとき、特異点 b=14.134725 だと大きくゆがんだ図が描かれます。差分線は特異点で ー無限大から +無限大に移動します。

特異点の上下に少し移動すると、左からの線はマイナスの山の形になり、a=0.5 で零となって、プラスの山を通過し、そこから右に抜けてゆきます。差分線分析図では山形であることは証明の手順に影響を与えないので、なだらかな線として描いています。ご了承ください。零点やv印を通る場合は別です。



ox=0.7 あたりまでは右肩上がりの線が大半ですが、ox=0.8 あたりからは右肩下がりの差分線も増えてきます。その途中には波を打つような線になることもあります。


su_sabun_08pi_b10 の図 右図が ox=0.8 b=10 のときの差分線です。右肩下がりに変化していますが、a=0.5 に達する前にマイナス領域を走ることもあり、波になっています。微分角度がさらに増加すると綺麗な右肩下がりになります。






su_sabun_09pi_b10 の図 ox=0.9 、b=10 のときは綺麗な右肩下がりの図になっています。








そして、最後に ox=1 になり、先に挙げた ox=1 の図になります。




■      差分線にはふたつのパターンがある。


差分線には右肩上がりか、右肩下がりの線しかありません。計算すればすぐわかることですが、これは証明に関わる重要事項なので、ここで証明しておくことにします。

差分線の性質として a=0.5 において左右逆対称であることが挙げられます。これは左右の値を引くことにより差分関数が成立しているので、証明の根拠として使うことができます。また、そこから派生する事実として、a=0.5 は常に零であることも当然のことです。つまり、差分線は必ず a=0.5 を通過するときは零となります。

さて、左側の差分線がマイナス領域を走り出した時、その線はa=0.5 へ向かいますが、そこは零ですから、必ず上昇線となります。途中で波を打ったとしても、マイナスから零になったのですから、上昇しているということです。そして、a=0.5 より右では、左右逆対称ですから、零からプラスに向けて上昇することになります。零からマイナスに向かうことはありません。ですから、全体としてマイナスからプラスに向けて動いたことになるので、この線は右肩上がりとなります。

左側の差分線がプラス領域を走り出した時は、a=0.5 の零に向かって下ってゆきます。そして、a=0.5 を超えたあとは、左右逆対称ですから、必ずマイナス方向に下ることになります。これは右肩下がりとなります。

もし、左の差分線が零からスタートしたとしましょう。この場合は、差分線が直線でなければ、必ずその後プラスかマイナスになります。そして、a=0.5 を通過する時、左右逆対称となるためには線に傾きが必要になります。たとえ瞬間的に傾きがなくても、直後には逆方向に進まなければなりません。つまり、a=0.5 の両側はかならず符号が逆になっていなければならないということです。リーマン証明は a=0.5 の近傍で作業するので、差分線の出発点がプラスかマイナスかはあまり問題ではありません。作業図の中でマイナスから上がる線なら右肩上がりで、プラスから下る線なら右肩下がりと分類されます。

差分線が横に流れるのは b=0 のときだけです。証明で使う場所は仮定上の特異点のあるところです。bの値はかなり大きくなっています。この特異点を差分線が通るとき、必ず無限の値をとります。ですから、真っすぐな横線にはなりえません。また、その近傍は無限点を通る線が連続して変化したものなので、同じく真っすぐな横線にはなりません。必ず上か下に移動します。

ということで、作業図として使う差分線には右肩上がりと右肩下がりのふたつのパターンがあり、それ以外はないということが証明されました。





■      su_dif(s) の零線図


su_dif(s) 零線図の ox増加による変化を説明します。

非自明の特異点を通る零線が輪になることが多いことは先に説明したとおりです。ここでは、零線図の全体像を説明します。どのようにしてマイナス領域がプラス領域に変化するかが重要なポイントです。b < 0 では b > 0 と零線図は違う形になっています。証明は b > 0 でおこなうので、b < 0 の範囲は取り上げませんので、ご了承ください。

su_dif_0pi_b0 の図 ox=0 では b > 0 の全画面のほとんどがマイナス領域です。特異点の作る輪の内部がプラスになっているだけです。b=0を通る横線がプラスとマイナスを分ける線となっています。

b=14 と b=21 あたりに小さな点が見えますが、これは先に説明した特異点に繋がる輪です。全体図からすると、輪はとても小さなものとなっています。



ox=0 のときの零線図全体がマイナス基調であることは証明の根拠として必要なので、ここで証明しておきます。

証明のために、ox=0 ではなく、ox=0.5 から始めます。ox=0.5 の a=0.5 の値は必ずマイナスになることは ver79_su で証明してあります。その証明を再掲しておきます。

su_dif_1pi2_a05 の図 a=0.5 上の値を b=20 まで計算すると右図のようになります。その先すべてマイナスであることは、k_th_dif(s) との関係で証明できます。







su_dif_a05_zatu の図 b方向からの微分した式である k_th_dif(0.5+b*i) から  su_dif(0.5+b*i) を引きます。その結果は右図のようになります。青線が k_th_dif(s) で、赤線が su_dif(s) 、引き算の結果が緑線で示されています。緑線がほぼ平らで ln(2pi)=1.837877 に収束することが確認できます。

プラスの値に収束するということは、su_dif(0.5+b*i) が必ず k_th_dif(0.5+b*i) よりも小さくなることを意味しています。そして、k_th_dif(0.5+b*i) が b > 10 で 必ずマイナスなのですから、su_dif(0.5+b*i) も必ずマイナスになることになります。



k_th_dif(s)の a=0.5 上の値がマイナスであることの証明は ver79 に載せてありますが、それも再掲しておきます。


k_th_dif_b_a05_b0_tate の図 k_th_dif(s) の a=0.5 上の値は b=7 あたりから上はすべてマイナスになります。それは k_th(s)  a=0.5 の角度公式が右肩下がりだからです。プラスになることはなく、また、零になることもありません。その証明は k_th(s) の角度公式を使います。

完全公式は長いので、「私の発見した数学公式・第12の広場・付録7」を参照してください。それを微分した式も長くなるので、近似式を載せておきます。   k_th_dif_b(0.5+b*i) = - 1/2 * { ln(b) + 1 - ln(2*pi) - 1/24b^2 ... }   となります。 公式があるので a=0.5 の値はマイナスであることは作図、および、証明の根拠として使えます。


以上により、ox=0.5, a=0.5 において、su_dif_ox(s) の値がすべてマイナスであることが証明されました。

ということは、a=0.5 上では、無限大に至るまでマイナスということです。そして、その周りにある特異点の輪の周りはマイナスなので、輪の中は必ずプラスになります。

ox=0.5 のときの輪の内部がすべてプラスであるなら、それから微分角度を減少させて、連続した変化で ox=0 に到達するとき、途中で区分線などは通過していないので、輪の内部がプラスからマイナスに変化することはありません。ox=0 においても、すべての輪の中はプラスであると確定します。そして、輪の中がプラスなのですから、その周りはすべてマイナスとなります。

これで、ox=0 のときの零線図全体の基調がマイナスであることを証明の根拠に使うことができるようになりました。



零線図の紹介に戻ります。

su_dif_01pi_b0 の図 ox を増やして ox=0.1 としてもたいした変化はありません。ただ、b=0 の横線に小さな波が発生していることがわかります。この波は無限大近くなると複雑な動きをしますが、証明には直接関係ないので説明は割愛します。








su_dif_02pi_b0 の図 ox=0.2 になると、b=0 の波が少し大きくなっています。










su_dif_03pi_b0 の図 ox=0.3 になると、さらに波が大きくなるだけでなく、a=0.5より右側の線が途切れているように見えます。ここには小さな輪が出来ています。












su_dif_04pi_b0 の図 ox=0.4 では、左側の波もなくなって、小さな輪が発生しています。b=14 近くの特異点の周りにある輪の大きさは少し変化しますが、あまり大きなものではありません。










su_dif_05pi_b0 の図 ox=0.5 になっても大きな変化は見られません。b=0 付近の零線がやや上に張り出してきているように見えます。










su_dif_06pi の図 ox=0.6  では、(0,0) 近くの零線が輪になっているように見えます。あとは特に変化はありません。











su_dif_07pi_b0_02 の図 ox=0.7 を超えたあたりから急に変化が激しくなります。

(0,0) 付近で膨れていた線がさらに上に張り出してきて、少し大きな輪の形を取り始めています。輪の内部はプラス、外はマイナスです。b=14 あたりの輪も少し大きくなりました。







su_dif_077pi_b0 の図 ox=0.77 になると、変化の方向性がはっきりしてきます。(0,0) 付近から盛り上がった線が右に張り出してきました。これがまたたくまに右無限まで到達します。また、b=14 付近の輪も右に伸びてきます。そして、これも右無限まで到達し、零線の組み手を変えて b=8 付近の零線と b=11 付近の零線が繋がります。ox=0.78 ではもう a=0 付近にまで戻っています。







su_dif_077488pi_b0_02 の図 右無限に到達しそうな雰囲気になる図を探してみました。ox=0.77488 だとかなり右に張り出してきていることがわかります。










su_dif_077489pi_b0 の図
わずかに角度を増やしたのが右図です。ox=0.77489 になると、もう組み手変換が終わっていて、輪も無くなっています。少しの角度変化どころではなく、ごく微細な角度変化で全体が変化していることになります。右に張り出した横U字形の内部がマイナス、外側がプラスです。







su_dif_08pi_b0 の図 ox=0.8 の図では、輪が完全に消滅し、上に昇る波線となっています。この上昇波は無限大まで続いていると思われます。その理由は、ox=1 になるとすべての輪の内部がプラスからマイナスに変わることです。符号が変わるためには一度輪が壊れなければなりません。そのためにはこの上昇波と一度合体しなければならないからです。

画面左側に広がっている横線はもともとb=0線と繋がっていた輪の上部にあった線が拡大したものです。このまま左無限大の方向に進みますが、やがて下がってきて、b=0 の線と繋がります。この横線が a=0.5 あたりで上昇波と繋がり、上の無限大に達しています。この線の右下がプラスで、左上がマイナスです。この符号の違いが証明のカギとなるので、この線は非常に重要です。そこで、この線のことを符号の境目ということで区分線と名付けておきます。



su_dif_083pi の図 ox=0.9 では区分線が上がりすぎて図の中に入りません。そこで、ox=0.83 を取り上げます。

区分線が少し上に昇っています。昇ったあとに残された b=14 の特異点の周りにはまた新たな輪が出来ています。この輪の内部はマイナスで、外部がプラスです。以前の輪とは符号が逆になっています。プラス領域がだいぶ増えてきました。






su_dif_09pi_b150 の図 ox=0.9 は計算精度が必要なので、計算を諦めていましたが、頑張って計算したところ、右図のようになりました。b=150 ですから、ずいぶん上に行ってしまいました。







su_dif_1pi_b0 の図 ox=1 は ox=0 と同じ零線図になります。ただし、符号が逆になっています。ox=0.8 では図の中に収まっていた区分線が ox の増加とともに上に移動し、ついに無限大に到達するのが ox=1 ということです。 










■      差分零線図


差分線も a=0.5 以外で零になることがあります。そこで、差分零線図を描いて、どこが零になるかを確認しておきます。a=0.5 は常に零なので、a=0.5上を縦に零線が通っています。


ox=0 では b=0 上に左無限から右無限まで通る横線が現れます。非自明の特異点のある a=0.5 上では縦に零線が通っています。ここには輪が現れません。これは su_dif(s) との相違点です。b=0 上の零線は ox の増加により小さく上下に変化しますが、証明にあまり関係しないので説明は割愛します。ある程度綺麗な線になるのは ox=0.5 あたりからです。

su_sabun_05pi_b0  の図 右図は ox=0.5 のときのものです。a=0.5 より左では、線の上がマイナス、下がプラスです。a=0.5 より右はその逆です。

差分零線図には su_dif(s) のときのような特異点を通る輪は発生しませんが、仮定上の特異点のある場所だけ差分線輪が発生していないといけません。差分線輪が無いと矛盾が生じるからです。仮定上の話なので話は複雑になりますが、詳しくはまたあとで説明します。


su_sabun_07pi_b0_02 の図 ox=0.6 は ox=0.5 のときの輪が少し大きくなった程度なので、図は割愛します。ox=0.7 では、差分零線と言えるほど零線が横に広がった図になります。a=0.5軸の左の差分零線の上側がマイナス、下側がプラスです。軸の右では逆になります。








su_sabun_08pi_b0 の図 ox=0.8 になると零線がやや下に膨らむ形になります。この横に伸びた線はこのまま伸び続けるのではなく、まもなく下がり始め、a=-51 あたりで零に近づきます。









su_sabun_09pi_b0 の図 ox=0.9 になると、零線は少し上に上がり、膨らみが弱くなります。ox をさらに増やすと、膨らみが無くなり、縦長のU字形になります。そして、この形のまま上に上がり続けます。やがて ox=1 になると、無限大に到達し、差分零線は消滅します。a=0.5軸左側全体がプラスになり、右側全体がマイナスになります。

差分零線が上昇する過程で、必ず仮定上の特異点を通過します。このことが証明の重要な材料となります。





■      ps点の存在


さて、差分線は最初は右肩上がりですが、ox の増加とともにやがて右肩下がりの線になります。その変化途中で線が波になることがあります。

su_sabun_08pi_b10_02  の図 たとえば、ox=0.8 で b=10 のときが右図です。差分線がすでに右肩下がりになっていますが、途中で一端マイナスとなり、それから上昇して a=0.5 軸を通り、また右肩下がりの線に戻ります。このとき発生する零点を分析するために名前を付けておきます。この点を ps点 と呼ぶことにします。分析に使うのはおもに左側の領域ですが、そこにふたつの交点がある場合、取り上げるのは a=0.5 軸に近いほうなので、おもにそちらを ps点と呼ぶことになります。

さて、先に挙げた差分零線図を参照してください。ps点は、差分零線図の零線とbの横線との交点のことなので、差分零線が通っていないところにはこの点はありません。ox=0.8, b=10 のときはps点がありますが、ox を増やすと差分零線が上に移動するので、徐々にb横線との交点であるps点は右に移動します。そして、やがて a=0.5軸の零線と合体して消滅します。

su_sabun_08pi_b15  の図 b=15 を見ると、横に広がる零線との交点がないので ps点は発生していません。









su_sabun_09pi_b15  の図 ox=0.9 の図に目を移すと b=15 と交わる零線が見つかります。その交点がps点となります。この点もoxの増加とともに右に移動し、やがてa=0.5と合体して消滅します。

b を上げてゆくと、bの横線と交差する零線を見つけにくくなりますが、ox をある程度1に近くすると ps点は必ず発生します。そして、一度発生すると、零線の上昇とともに、ps点はa=0.5に近づき、やがて a=0.5 と合体して消滅します。



su_sabun_099pi_b0 の図 ただし、ここで注意が必要なのは、零線は上昇してゆきますが、通過した後の a=0.5 軸の周りにまだ別の零線が残っていることです。右図は ox=0.99 のときの b=20 あたりの図です。ox=0.99 の差分零線本体は遥か上にありますが、b=20 あたりの縦の零線が少し膨れています。この線との交点もps点で、このようなps点は ox=1 になってようやく消滅します。  







■      区分線と差分零線の上昇速度の違い


差分線が右肩上がりなのか、右肩下がりなのかで、分析内容が違ってきます。それに影響を与えるのが区分線(su_dif(s)の零線)と差分零線です。どちらも同じようにsu_dif(s)の複素平面を上昇してゆきます。並行して昇っても良いはずですが、計算してみると、区分線のほうが数倍早く上昇しているように見えます。このことを実際の図で確認しておきます。

su_hikaku_b10 の図 ox=0.8 あたりから区分線は明瞭になります。差分零線も似たような場所で、似たような形をしていますが、上昇速度は区分線よりかなりゆっくりです。右図は ox=0.8 のときの区分線(左側)と差分零線(右側)です。高さがだいたい同じであることを確認してください。



su_hikaku_b30 の図 ox=0.85 になると、区分線は b=30 あたりに上昇するのに対して、差分零線は b=10 からあまり動いていません。







su_hikaku_b150 の図 ox=0.9 になると、区分線は b=150 あたりに上昇するのに対して、差分零線はまだ b=10 あたりに留まっています。

oxを増やすと、差分零線も上昇し、ox=1 で無限大に至ります。ですから、上昇速度は遅いのですが、最後には無限大に到達することは同じです。


こういう実際の図を見ると、仮定上の特異点のある場所でも同じように区分線が先に到着すると判断できます。区分線が先に特異点の場所に到達し、輪の内部をプラスからマイナスへ変え、そのあとだいぶ経ってから差分零線がやってきて、右肩上がりから、右肩下がりに変わると思われます。

以上は計算により確認できたことですが、このままでは証明の根拠として使うことはできません。そこで、区分線のほうが先に仮定上の特異点を通過することを証明しておくことにします。
<差分線分析のやり方は後の節で説明されています。>

もし、区分線が先でないと仮定します。その図に矛盾が見つかればよいのですから、その図で分析してみます。区分線が先でないとは、差分零線が先であるということです。差分零線が通り過ぎたところでは差分線が右肩下がりになっています。区分線はまだ到達していないということなので、輪の内部はプラス、外はマイナスです。輪の場所も特異点に対して上側になります。

輪の場所が特異点に対して下の場合はすでに ox=0.1 のときに矛盾があるとして退けられていますので、ここでは取り上げません。また、輪ではなく、無限大に繋がるなどの別の形である場合は、交点の数が同じなので、同じ分析方法で矛盾が指摘できます。それについては、輪の分析の次に取り上げます。


su_bunseki_002 の図 その条件で作図したものが右図です。

橙線を特異点の下に引きます。特異点を橙線に投影した場所にv印をつけます。また、su_dif(s)の零線の輪(青線)と交差する場所に大黒点を打ちます。その大黒点と対応する橙線上の場所に大黒点を打ちます。これらの大黒点に左から b1、b2、b3、b4 と名前を付けておきます。橙線上の大黒点と対称のところが差分線の通り道になるので、その差分線上に小黒点を打ちます。

差分線は右肩下がりですから、v印の近くを通ってマイナスとなり、a=0.5 軸を超えて右側に抜けてゆきます。su_dif(s) の青線(先の青線とは別)は、大黒点と小黒点を通らなければなりません。ただし、点以外の場所で橙線、桃線を超えることはできません。

まず、b1、b2 の間、b3、b4 の間はプラスと決まっているので、橙線の上側に青線を引いておきます。左から青線を引こうとしても b1 に到達できません。また、b2 のあとはマイナス領域になります。その領域から小黒点を通るためには、桃線を通り抜けるか、橙線を通り抜けなければなりません。しかし、青線は点のないところを通り抜けられないので、矛盾と判定されます。


su_bunseki_022 の図 輪ではなく、無限大に繋がっている場合が右図です。交点の数と場所が同じなので、同じ手順で分析が可能で、同じ場所に矛盾が生じています。無限大の繋がる場所が特異点の下であっても同じ結論です。また、上にある別の零線や、下の零線、上の無限大に繋がっても、交点の数が同じなので、同じ結論になります。




su_bunseki_023 の図 交点の数が変わるのは、右の輪が右無限大に繋がるときです。このときは、b4 が無くなるだけで、他の交点はそのままなので、矛盾は解消されません。

左の輪が b1 を作らずに左無限大に繋がることが出来ないことは、この図からお分かりいただけると思います。

すべての可能な形で矛盾があると指摘できたので、差分零線が先に到達することはないことが証明できました。この条件を根拠に証明を進めることができます。





■      差分線による分析方法


差分線を使って矛盾を指摘するために分析図を使います。分析図は仮定上の特異点を含む su_dif(s) の零線図と、そこを通る差分線図のふたつがセットとなっています。

仮定上の特異点を通る零線図を描くことは計算ではできないので、零線図全体の構造から条件を探し出して、可能な形を絞り込むことになります。まずは、仮定上の特異点を通る零線が必ずあることです。そして、その零線の作る傾きは特異点の場所において必ず ox*pi になっていることです。その零線は途切れることなく、分岐することなく、どこかの零線と繋がるか、無限大に到達しなければなりません。

実際の特異点を通る零線は輪になることが多いので、ここでは輪がふたつあるということを前提に分析のやり方を説明します。実際に証明の作業をするところでは、輪にならない場合も含めて議論する予定です。

su_dif(s) の零線図に特異点を通る零線の輪が描かれています。特異点を通る零線は oxの値に相応しい傾きを持っています。この図の特異点下側に橙線を横に引きます。この橙線は分析の基準となる線で、橙線と零線との交点が証明の材料となります。この交点を図では黒点で示していますが、そこをsu_dif(s) の値である青線が通れるかどうかが分析の中心となります。

零線図とは別に、橙線を基準とした図を描きます。この橙線はa座標の横線で、中央が a=0.5 を指しています。縦が su_dif(s) の値です。零線図の特異点に対応する場所にv印をつけます。v印は特異点の真下に位置する点で、橙線の中では最も特異点に近いところです。交点に対応する場所に大黒点を打ちます。差分線は桃線で表現することにします。差分線は右肩上がりか、右肩下がりかのいずれかで、必ず a=0.5 の零点を通ります。交点に対応する差分線上に小黒点を打ちます。


su_sabun_05pi_b14 の図 差分線の形はいろいろありますが、分析する際にはなるべく単純化して描かないとわかりにくいので、次のようなルールをもうけます。ox=0.5 で b=14 の差分線は右図のような形になります。特異点近くではこのようになるのですが、差分線が a=0.5 まではプラス領域だけ、もしくはマイナス領域だけを走ることは他の場合と同じです。分析のやり方に変化はないので、分析図においては極端な上昇線や下降線は無視して、なだらかな上昇、下降線で表します。ご了解ください。また、b=14 の場合は a=0.5軸を通過するので、そこが z=0 となりますが、仮定上の特異点はa=0.5ではないので、D印の場所を差分線が通るわけではありません。しかし、橙線は特異点近くに引くことになっているので、v印の近くを差分線が通ることは確実です。ゆえに、D印近くを通るように作図します。



su_bunseki_001 の図 説明のためのモデルとして、区分線が通過した後、差分零線がやってくる前の図を使います。ですから、輪の中はマイナス、輪の外がプラスとなったときです。差分線は右肩上がりです。

差分線の形はいろいろありますが、左から右に流れる普通の関数なので、途切れるとか、戻るなどのことはないという基本的条件は付いています。a=0.5 において零になるとか、左右が逆対称であるなどの条件も付いています。それ以外の縛りはありません。橙線上の大黒点に左から b1、b2、b3、b4 と番号を付けます。それに対応する桃線上の場所に小黒点を打ちます。その理由は、大黒点の値は零なので、対称点との差がそのまま差分線の値となるからです。この小黒点に番号を付け、左から s4、 s3、 s2、 s1 とします。

これら8個の点を通るように青線を引きます。点以外で橙線、桃線を通り抜けることはできません。この分析図の場合、問題なく青線を引くことができました。つまり、矛盾はないということです。

もし、青線を引くことが出来なければ、矛盾ありとなります。





■      仮定上の特異点を通る su_dif(s) の零線の形と証明手順の説明


仮定上の特異点を通る零線の形は、仮定上の話なので特定するのはなかなか面倒です。計算上の形は、輪であるとか、波であるとか、計算すれば確定します。しかし、仮定上の特異点の場所は計算できないので、想定することになります。証明で使える条件を見つけて、その条件にあう可能な形をすべて挙げることが必要になります。

まず、k(s) では、仮定上の零点は必ずa=0.5から等距離のところに並んでペアで存在していなければなりません。これは ver20 の2部で証明してあるので繰り返しません。非常に重要な前提で、証明の基礎となっています。su_dif(s) では、この場所が特異点になっています。k(s) と同じように a=0.5 から等距離のところにペアで存在しています。このふたつの特異点のそれぞれを零線が通過します。なぜなら、k(s) の仮定上の零点に零線が通っているからです。

次に、oxの値により、その零線の a=0.5 における傾きが定まるということです。その傾きは必ず ox*pi となります。ox=0 では零線は平らに進みます。ox が増えると左周りに回転し、ox=0.5 では垂直となります。ox がさらに増えるとさらに左に回転し、ox=1 で元に戻ります。

このとき、零線の両側の符号が異なることも、非常に重要で、証明の材料となります。どちら側がプラスか、マイナスかは微妙な問題ですが、符号が異なることは当たり前のことです。それはその線が零線だからです。

この零線は途切れることはなく、分岐することもありません。どこかに繋がらなければなりません。ですから、形としては、自らに繋がって輪になるか、別の線に繋がるか、無限大に繋がるかのいずれかです。

これらの形が仮定上の特異点の上側、下側のどちらにあるかはとても重要で、区別して議論しなければなりません。ただ、上側に零線の形がある場合は、ox=0 から少し角度増加がある場所で矛盾が発見されます。ゆえに、証明は、おもに下側に形がある場合を取り上げて進められます。

また、左特異点と右特異点で、形が上下異なっている場合も考えられます。これについては、ox=0 の段階で矛盾が発見されます。

ox=0.7 を超える段階になると、特異点下側に形がある場合にも矛盾が見つかります。しかし、差分線の形を調整すると矛盾がなくなります。それを踏まえて、この新しい差分線の形のまま ox=1 まで分析を進めます。その結果、矛盾が指摘できないまま元に戻ってしまうのですが、差分線の形が当初の分析図と異なるので、この差分線の形を維持したまま ox=0 の分析に戻ります。ox=0 の分析図には矛盾が見つからないので、そこからさらに、微分角度を増加させた分析図に進みます。すると、ようやくこの段階で矛盾ありという結論に到達することができます。





■      仮定上の特異点近くでの差分線の分析


それでは、実際に、差分線分析図を使って、どのように矛盾が生じるかを説明してゆきましょう。

su_bunseki_0pi の図 ox=0 のとき、まず、橙線を特異点下側に引きます。すると4つの交点が発生します。次に、その下の場所に別の図として橙線を引きます。零線図の特異点に対応する場所にD印を付けます。交点に対応する場所に大黒点を打ち、b1、b2、b3、b4 と名前を付けます。差分線は桃色を使って表示します。ox=0 のときは右肩上がりなので、v印近くを通るように線を引き、a=0.5を通った後は、左と逆対称となるように線を引きます。大黒点に対応する場所に小黒点を打ちます。左から s4、s3、s2、s1 と並べます。同じ番号のところが大黒点と対応しています。

輪の中はプラスなので、b1 と b2、b3 と b4 の間はプラスにしなければなりません。それを踏まえて、左から青線を引いてゆきます。まず s4 を通り抜け b1 に至ります。それを超えると、次にs3 を通り、b2 に達します。あとは、黒点以外の場所では橙線と桃線を越えないように作図してゆくと、無事に b4 を越えて右に抜けることが出来ました。つまり、矛盾はないということになります。



輪以外の形であっても、交点の数が同じならば同じ結論になります。ox=0 の場合、他の零線と繋がっても、無限大に繋がっても交点の数は減りません。ですから、上記の結論と同じで、矛盾なしと判定されます。

無限大へのつながり方が悪いとかえって矛盾を生じさせる図にもなりますが、矛盾のない図がひとつ可能ならば、それは矛盾なしと判定されます。交点の数を増やすと矛盾が発生することがありますが、最初の形に矛盾がなければ、結論に変更はありません。


su_bunseki_0pi_02 の図 特異点上側に輪が出来るときは上側に橙線を引きます。分析のためには交点が必要だからです。あとは同じような手順で分析します。

輪の場所が移動しても、中がプラスであり、右肩上がりの差分線なので、分析図は同じです。結論も同じで、矛盾はありません。

輪ではなく、他の線と繋がっても、無限大に繋がっても交点の数が同じならば、矛盾は生じません。交点の数を減らしても、増やしても矛盾する場合が起きてきますが、それはすでに矛盾なしと判定された図があるので、全体として矛盾なしという結論を変えることにはなりません。



su_bunseki_020 の図 a=0.5軸の左右両側で零線の形が上下逆の場合は矛盾が生じます。

ox=0 なので、輪の中はプラスでなければなりません。差分線は右肩上がりなので、v印の近くを通っています。b1 を通った青線は b2 に向かいますが、そこに差分線(桃線)があり、黒点がないので、通り抜けられません。これは矛盾です。

右に黒点(交点)があればよいのですが、図を変形させても、右側には偶数個の交点しかできません。左の黒点を増やしてもやはり偶数個増えるだけですから、矛盾は解消しません。

差分線の形を変えることはある程度許されます。しかし、右肩上がりとa=0.5を通ること、v印近くを通ることは譲れません。ですから、差分線の形を変えても矛盾は解消されません。

この図を上下逆にしても、左右逆にしても矛盾は同じなので、同種の図はすべて矛盾ありとして退けることができます。

輪ではなく、左右の輪が繋がったり、他の線や、無限大に繋がる形にしても、橙線との交点の数と位置関係は同じなので、同じ結論になります。矛盾を示す手順は同じなので、図は省略します。



su_bunseki_03pi の図 微分角度ox を増やしても、輪が特異点の下側にあるときには問題がおきません。

oxを増やすと零線はやや左回りに動き、傾きが生じます。輪が特異点の右下側にあるので、橙線との交点は左側が特異点に近く、右側が遠くなります。そうならない作図も可能ですが、橙線は任意に引くことができ、いくらでも特異点に近づけることができます。すると、必ず左の交点が特異点の近くになるように作図することができます。

右図を見ると、青線が引けているので、矛盾なしと判定されます。

輪ではなく、右左が繋がっても、他の線と繋がっても、無限大に繋がっても、交点の数と位置関係が同じならば矛盾は生じません。右図の場合、右特異点を通る零線は右無限大に繋がることが可能です。そうすると、b4 がなくなり、青線はプラスのまま右無限まで続くことになります。しかし、そこには何の矛盾もないので、矛盾なしと言う結論は同じです。数が増えると、矛盾が生じる場合も出てきます。しかし、矛盾なしの図の変形である場合は、結論として矛盾なしの判定を覆すことにはなりません。


su_bunseki_021 の図 零線に対して左上側に輪ができる場合は矛盾が生じます。ox=0 のときのように、上側に輪があるときは上側に橙線を引きます。右図の b1 と b2 の間はプラスです。しかし、そこに桃線があり、黒点がないので、通り抜けられません。これは矛盾と判定されます。

左特異点を通る零線が左無限大に繋がるときは交点の数が変わり、b1 が無くなります。この場合、b2 から左側全体がプラスとなるので、そこにある桃線を通り抜けられないことに変わりありません。ですから、矛盾と判定されます。図は省略します。

交点の数が変わるのは左無限大に繋がるときだけなので、隣の輪と繋がるとか、他の線と繋がるとか右の無限大に繋がるなどの図は同じ手順で矛盾が発見されます。ゆえに、零線に対して左上側にプラス領域が発生する図はすべて矛盾となります。

この左上がプラスになる図は、ox がさらに増加しても、矛盾した図の変化になるので、分析の対象から外します。


ox が 0.5 になっても、プラス領域が零線の右下にある形には矛盾が生じません。

ox が 0.7 を過ぎたあたりから区分線が上昇を始め、プラス領域が増え始めます。そして、0.9 を超えるあたりから差分零線も上昇を始めます。このあたりから詳しい分析が必要になります。




■      区分線が上昇したあとの差分線の分析


su_bunseki_003i の図 区分線が上昇してゆくと、必ず仮定上の特異点の場所を通過します。そのとき、輪の内部の符号を変化させるほどの大きな形の変化がありますが、分析が複雑になるので、そこは飛ばすことにします。符号変化の後の図で矛盾が見つかるからです。

まずは、区分線が通り過ぎて輪の内部の符号変換が終わったときで、まだ差分零線が到着してないときを取り上げます。そのときの分析図が右図です。区分線が通り過ぎているので、輪は特異点の下に移動し、輪の中はマイナスに変化しています。差分線は差分零線が通過していないので、右肩上がりのままです。

この場合も矛盾なく青線を引くことができます。



su_bunseki_08pi の図 ox がさらに増大すると差分零線も上昇してきます。そして、必ず仮定上の特異点を通り過ぎます。通り過ぎた後は差分線が右肩下がりに変わります。輪の内部はマイナスです。そのときの分析図が右のA図です。

下ってくる差分線を青線が通り抜けられないので矛盾が発生しています。

しかし、差分線はいろいろな形をとることが可能です。右肩下がりであるとしても、途中で波になり、 ps点を発生させてマイナス領域に入ることもあります。その形で分析したのがB図です。左のD印左側で差分線がマイナスになっていると矛盾が無くなります。


su_bunseki_004 の図 しかし、これで終わりではありません。さらに ox が増加すると、ps点は右に移動します。そしてやがてD印の左にある大黒点b1より右に来ることになります。そのときの分析図が C図です。このとき s4 を通ることができないので矛盾となります。


この矛盾を発生させない図はあるのだろうか?と検討していると、差分零線が a=0.5軸の周りに留まり続けていることを思いだしました。差分零線本体は必ず無限大に到達します。しかし、一部が残ってるならそこにps点が残ることになります。また、仮定上の話ではありますが、ox=0 のときから、a=0.5軸と仮定上の特異点の間で差分線がプラスになっていました。周りはマイナス領域なので、ここに差分零線の輪が出来ていることになります。そして、この差分零線の輪が、oxの増加の際にそのあたりに残り続けていることも確実です。差分零線本体がここを通り抜ける際に、差分零線の輪を壊し、内部をマイナスに変えると思われますが、どのようにして変えるかは複雑なので、取り上げません。結果として、輪の場所が移動して、左特異点左側に移動することも無いとは言えません。無いことが証明できない限り、それはあるとして証明を進めなければなりません。


ただ、その証明を進める前に、su_dif(s)の零線の形の分析を付け加えておきます。零線図の形が輪ではなく、他の形である場合も検討しなければなりません。その形のとき、交点の数と位置関係が同じならば先の分析と同じ結論になります。零線の形が橙線に対して、上側にある場合は、すでに ox=0 を越えたあたりで矛盾が生じているので、取り上げません。下側にあるとき、ps点がある場合と、無い場合の両方を検討することになります。

交点の数が異なるのは、左特異点を通る零線が左無限大に到達する時だけです。この場合、b2 より左全体がマイナスになるので、ps点がないと矛盾が残ります。ps点があると矛盾が生じません。A図、B図、C図を少し修正するだけなので図は載せませんが、同じ結論になることは確認できると思います。

その他の形は、零線がどう変化しても、A図での矛盾を解消することはなく、また、B図で矛盾を生じさせることもありません。交点の数を増やすと矛盾を生じさせる図を描くこともできますが、すでに矛盾なしの図があるので、全体としては矛盾なしという判断を変えることはできません。




■      ps点が留まり続ける形


さて、そういうわけで、b1 の左にps点があり続け、ox=1 になっても b1 の右に移動することがないという前提で、どうなるかを調べることにします。

su_bunseki_006 の図 ox=1 のとき、特異点外側に差分線マイナス部分が残り続けるという条件で作図したものが右図です。差分線の形は右肩下がりで、b2 を ox=1の輪に合わせて少し右にずらし、その他の点も輪に合わせて書き直しました。そして、大黒点、小黒点を通るように青線を引いたところ、やや不自然とはいえ、なんとか引くことができました。つまり、矛盾は生じていないということです。


さて、この先がどうなっていくかをさらに検討します。ox=0 は ox=1 と同じ零線図ですが、差分線は上下逆になります。その形は前に検討したものとは異なっているので、ox=0 でどうなるかを確認してみます。

su_bunseki_007 の図 ox=1 と ox=0 では符号が逆になるので、ox=0 の輪の中はプラス、差分線も右肩上がりになります。符号が逆なだけで値は同じですから、上下反対のところを通ることになります。その図が右図です。

ox=1 に矛盾がなかったように、この図にも矛盾はありません。

すでに ox=0 以降の差分線分析は終わっていますが、その時と差分線の形が異なるので、この差分線の形を前提に oxを増加させた時の図をさらに検討してみます。


su_bunseki_008 の図 ox=0 から角度増加があると、分析図の構造が変わります。そこで、特異点の下側に橙線を引きます。すると v印のすぐ左に b1、右側の少し離れたところに b2 が発生します。先の分析で矛盾が発生しなかったのは、ps点がなく、桃線が直接D印を通り抜けてプラス領域に入ったからです。今回は、b1 より左にps点があって、そこを越えてプラス領域を走り、そこから下ってv印近くを通り、マイナス領域を走ってa=0.5軸を超えることになります。

青線が b1 から b2 まではプラスでなければなりません。するとそこに差分線があるので、それを越えなければなりません。しかし、ox=0 のときにはあったp4は左に移動しているので、ここには通れる場所がありません。ですから、矛盾となります。




■      再度01、ox=1 直前からの再検討


一応、矛盾と言う結論になっているので、証明はこれで良いとは思いますが、リーマン証明は微妙なところに抜け穴があり、今まで何度も煮え湯を飲まされてきました。もう少し厳密に分析する必要があると思うので、再度、初めからやり直してみます。差分線の形はいろいろあるので、差分線より広い範囲を見るのに有効な差分零線を検討することにします。

分析図は、橙線上の交点と差分線で検討するやり方ですが、橙線は su_dif(s) と交点が作れるなら、どこにでも引くことのできる任意の線です。そこで、すべての場所で橙線を引いて、そこで差分線分析をしたと想定して、そこで出来るps点と差分零線の形を調べることにします。また、大黒点と小黒点の場所により矛盾かどうかが決まる場合が多く、それは左右対称でどちら側で分析しても同じことなので、おもに左側の図を使って分析することにします。そこで、右の零線図の形を対称形で投影した図を水色で示して、分析を分かりやすくすることにします。

出発点はps点が発生してからです。つまり、区分線が仮定上の特異点を通り過ぎて、その後、差分零線が通りかかるあたりからです。輪の内部の符号はすでにマイナスに変わっています。差分線は右肩下がりです。橙線は特異点の上にも下にも引いて検討します。ですから、検討する事項が多すぎるので、差分線分析図を紹介するのは代表的なものだけにして、結果だけを纏めて図示することにします。

su_bunseki_024_01 の図 特異点上側に橙線を引くと矛盾が生じません。この場所では、ps点を無くし、差分線を直接v印に引いても矛盾は起きません。ですから、v印の右側に差分零線の輪を作っても良いのですが、特異点の下側に引いたときにも連続して変化しなければなりません。そのときに矛盾が起きる形は避けなければならないので、差分零線は b1 より左に引かなければなりません。

橙線を特異点の下側に引くときがその下にある分析図です。ps点は b1 の左になければならず、輪の外でなければなりません。b3 に対応する水色点は桃線の零点より左になければならず、水色線は桃線より輪の内側になります。ですから、左から、ps、b1、水色点、v印、b2 と並ばなければなりません。

v印から離れたところの分析は可能性がありすぎて、図を描くことが困難です。分析は特異点近くでのみおこなうので、離れたところの分析は今回は省略します。離れたところでも矛盾が発生する可能性はありますが、その分析は「いずれまた」ということにして、今回は取り上げません。

ポイントは、psが常に b1 の外にあること、特異点の上側では差分零線が輪の外であるのに対し、下側では一部輪の中にあることです。


この形のまま ox=1 に向かうわけではありません。ox=1 の形はそのまま ox=0 の形になるので、そのあとに矛盾が起きないような形になっていなければなりません。そのことを考慮しながら分析する必要があります。

os=1 の図はすでに載せているので、少し前の図を参照してください。特異点より上には青線がないので、交点がなく、差分線はいかようにも引くことができ、マイナス部分を特定できません。特異点上に橙線を引く時も、交点が特異点だけですから、差分線のマイナス部分を特定できません。

特異点下側では直前までps点がないと矛盾が生じていました。ox=1 になったとたんps点が消え去ることが可能でしょうか。


su_bunseki_027  の図 そこで、直前図をさらに厳密に検討してみます。直前になるように分析図を描きましたが、先に描いた図とあまり変化がありません。b1 の外側にps点があり、b1 と b2 の間を桃線が通っています。矛盾のないことも同じです。

そこで、さらに ox=1 に近づけたとして考えてみましょう。ox=1 では特異点上の黒横線と青線との交点がなくなります。ということは、その直前、b1 は必ず特異点に近づきます。s4 がps点に近いと矛盾になるので、s4 も b1 に連れてv印に近づきます。s4 が近づくとは、右にある b4 が右のv印に近づくことを意味しています。右の輪についても同じことが言えるので、b3 が右のv印に近づき、s4が左のv印に近づきます。最終的に ox=1 になったとき、特異点にすべての黒点が吸収され、ps点のみが残ることになります。このps点の場所は特異点の外であればどこでも良いのですが、b1 と b2 の間にある桃線と繋がらなければならないので、作図としては特異点を通る形にしてあります。


su_bunseki_028  の図 ox=1 のときの青線図と差分零線図(桃線)を載せておきます。

a=0.5軸から伸びてくる差分零線があって良いはずですが、それはこの図では省かれています。ox=1 の直前にあった特異点上側の差分零線は、このタイミングで一度消滅しないとあとで矛盾が生じます。ゆえに、ox=1 では、そのような差分零線はないと判断されます。

b1 より外にps点があり、b2より左、つまり、輪の内側に差分零線があるという図になっています。この図が正しいかどうかにリーマン証明の成否がかかっています。


さて、これをもとに、ox=0 以降の差分線分析図、および、差分零線図を検討します。

ox=0 のときは、零線図、および、差分零線図は ox=1 とまったく同じです。また、同じでないといけません。符号が逆になるだけです。差分線分析図では上下が逆になりますが、同じ図です。そして、分析図に矛盾がないことも ox=1 と同じです。ゆえに、分析図は省略します。

ox=0 から角度を増加させた分析図に矛盾が生じていましたが、はたして、それがこの差分零線図においても追認できるでしょうか。

わずかでも角度を増加させると、その分だけ特異点を通る零線は左に傾きます。すると、b1 は必ず右にずれます。ただし、零線図そのものは、角度増加により変形するので、b1 が必ず右にずれるとは限りません。そこで、橙線をより特異点近くに引いて再度分析します。特異点近くでは、零線図の変化が小さくなり、必ず右にずれるところが現れます。そこに橙線を引くことが可能です。b1 はかなり特異点に近づいているので、b2 はそれよりも右側の遠いところに位置することになります。また、b3 も右特異点の近くにあるので、b4 は相対的に遠いところに位置することになります。

b1 と b2 の間、b3 と b4 の間は ox=0 と同じなので、プラスになっています。ps点は b1 よりも左にあります。すると、先に分析した図と同じですから、青線を引くことができず、矛盾となります。

ps点を b1 の内側に持ってきても青線は引けません。ですから、角度増加の瞬間に ps点が消滅してしまわないと矛盾が残ることになります。もしくは、ox=0 のときから ps点が消滅していなければなりません。それは可能なのでしょうか。

むりやり考え出すと、b1, b2 なども消滅すると ps点も消滅可能になります。つまり、ox=1 および、ox=0 において、輪が完全に消滅していれば矛盾は発生しません。

ox=1 , ox=0 のときだけ輪が発生しないことはあり得るでしょうか。それは特異点がなくなることを意味しているのではないでしょうか。k(s) において、仮定上の零点を零線が通過することは大前提になっていたのではないでしょうか。仮定上の零点があるのに、零線がないことがありえるなら、su_dif(s) の仮定上の特異点を零線が通らないこともあり得るかもしれません。しかし、k(s)の仮定上の零点に零線が通るなら、su_dif(s) の仮定上の特異点でも零線が通ると言わないければなりません。

k(s) の仮定上の零点は k(s) において、上から降りてくる零線の通り道になっています。そこは実零線と虚零線が交差する点です。もし、k(s) の零点に零線がないとすると、k(s) の上から降りてくる実零線と虚零線の交点が無くなってしまいます。それは不可能ですから、k(s)の零点を必ず零線が通ります。すると、su(s) の零点も零線が通ることになり、su_dif(s) の特異点にも零線が通ることになります。su_dif(s) の仮定上の特異点に零線が通らず、輪がなくなることはありえず、輪が無いということは矛盾となります。

ですから、微分零線図を使っても矛盾はなくならず、先のリーマン証明の論理は追認されました。



■      再検討02


・・・とは言うものの、私は疑い深いので、さらに別の角度から分析してみます。ox=0 からの微分角度増加の際に矛盾が生じるとのことですが、ps点がなく、差分線がv印に直接向かうときには矛盾は生じませんでした。その形から逆に辿って、ox=1 の図に連続した変化で到達できれば、矛盾はないということになります。そういう変化があり得ないことを証明してみます。

su_bunseki_03pi_01  の図 そこで、ox=0 から少し角度増加したところから逆にたどることにします。ps点がなく、右肩上がり、輪の中はプラスです。この図はすでにかなり前に載せてあります。矛盾がないことも確認してあります。分かりやすいように、水色線も書き込んでおきます。s4 を橙線上に下ろしたところに水色点を打ちます。便宜上、これを s4 と表記させてください。同じように、s3 を橙線上に下ろしたところに水色点を打ちます。ここも s3 と言うことにします。橙線上の点の並びは、左から s4, b1, 桃線、s3, b2 となっています。この順序を変えると矛盾が生じます。

この図には ps点がなく、そのまま ox=0 に戻っても矛盾がないことはすでに確認済みです。ただし、s4, b1, 桃線、s3 の並びはそのままでなければなりません。このときの差分零線図を載せておきます。


su_bunseki_031  の図 右図の<ps点のない場合>では s4, b1, 桃線、s3, b2 と並んでいます。その結果、矛盾の生じない図となっています。

<ps点がある場合>では、ps, b1, s4, 桃線、b2, s3 と並びます。この図は ox=1 の直前から矛盾のない図として継承してきたものですから、矛盾はありません。では、上図から下図へ矛盾なく、しかも、連続して変化できるでしょうか。

困ったことに、ox=0 と ox=1 は瞬間であって、時間の流れはありません。変化する時間はないので、このふたつの図が一致していなければなりません。一見して同じではないので、ox=0 に戻る前から ps, b1, s4 ... の並びになるか、ox=1 の前から x4, b1, 桃線 ... の並びになっていなければなりません。それは出来ないことは再検討01で証明されています。

残るは零線輪そのものが無くなることですが、これもすでにあり得ないことが示されています。




■      最終結論


以上により、再検討も含め、su_dif(s) の仮定上の特異点を前提にすると矛盾が生じることが明らかになりました。

su_dif(s) の仮定上の特異点に矛盾があるとは、特異点が存在しないということであり、その前提となっている k(s) の仮定上の零点が存在しえないことを示しています。

よって、証明を終わります。











証明の第1部

証明の第2部、第3部

証明の第4部

証明の第5部

証明の第6部

証明の第7部、第8部





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